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世田谷通信(153)
猫 草
紙は「重い」というのは本や事務などに関わるすべての方の共通認識だろうと思う。今回の震災でも沢山の被害が起き、そして回復に向けた地道な作業の中で大量の書類や本の存在はずっしりと「重い」だろう、と想像する。
勤務している図書室では、破損した棚を、他の学校に譲ってもらった本棚と入れ替えることになった。新しい棚を買ってもらうなど低予算のご時世、最初から望まない。不要品の抽選に当たったのをまずは喜ぶとしよう。
古い棚の本を出して箱詰めし、壁面と床に固定された地震対策金具を撤去。なにせ図書館用品は堅牢。その気になれば私でも破壊できる組み立て家具とは造りが違う。大人数人がかりで台車や古毛布をフル活用してやっと運ぶ。すっかり腰が痛くなる。
さらに、同時期に主人もオフィスの引っ越しで、段ボール90箱の本を運ぶことになった。研究の商売道具なので仕方ないが、ざっと4000冊。ハードカバーの専門書は、同じ冊数でも児童書と比較にならない重量感。運搬は業者さんだが、棚から箱に詰め、玄関先まで出すのはこちらの仕事である。春休みで家に居た長男に手伝ってもらって運ぶ。リビングは段ボールだらけ。運送業者さんにも、これ全部本?とあきれられる。ごもっとも。
それを新しい棚に並べる。ジャンル別にと思ってもNDC(日本図書十進分類)で言えば、ほぼ全部「5」類である。しばし本を並べる無言の作業。途中で隣の先生がのぞきに来た。参考までにその部屋を見せてもらうと、両壁面に天井までの巨大な本棚が組み上げられて床にボルトで固定。すさまじい収納力。ぱっと見て1万冊はある。天井付近の本、置いたが最後二度と見ないのでは?この方が引っ越すときはさしもの運送業者さんも泣くだろう。
棚は綺麗になって大変使い勝手がよくなったのだが、連日の本の引っ越しで肩と腰と指と手首がぱんぱんである。この作業、日常的に新刊と差し替えをする巨大書店さんや日々大量の文書ファイルを扱う事務系の方々は延々とやっているんだよな。人類の叡智が詰まっているとはいえ、紙媒体は重い。さりとてすべて電子化すればすむ話でもない。紙が紙たる存在意義もわかっている。あちこちに湿布を貼りつつ、本の重量を一時的に月の重力ぐらいにできる技術を開発した人には私がノーベル賞をあげる!と半ばやけ気味に思うのである。
*この添付のイラストは小学生のころ絵を描くのが大好きな次男がパソコンのペイントツールで描いたものです。
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
いのちのことば社
スーザン・ハント
「緑のまきば」
「聖霊とその働き」