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2023年7月号  №193 号 通巻877号
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…キリスト教…
 社会福祉活動のあゆみ(36)c1497a66.jpg
 
 キリシタンの貧しい人々への救済(9)
 
キリシタン慈善事業の意義
 
迫害下にあっても、最後までキリシタンの慈善事業は続けられていました。海老沢有道は、名著「切支丹社会活動及び南蛮医学」(1944年)において、「キリシタン社会事業は寧ろ迫害下にその進化を発揮したものと言い得ると思う」と述べています。先に述べたミゼリコルジヂャの組は迫害下にあっても困窮者や孤児の救済に当っています。1630年代、表面上日本のキリスト教会が消滅するまで、キリシタンの慈善事業は継続しています。
 海老沢有道は、更にキリシタンの慈善事業の意義について次のように述べています。「精神的のみならず、物質的に肉体的に救いを求めている人々に、キリシタン教会が組織的社会事業を開始したことは非常な歓喜を持って迎えられたことは繰り返しのべるまでもない。我々はまず第一に乱世に喘ぐ民を、多くの犠牲を払い、あらゆる障害、妨害を越えて彼らに救いの手を差し伸べた社会的意義と功績を認めねばならない」。
 更に付け加えるならば、キリシタン慈善事業の担い手が、一般の信徒であったということです。献身的なパードレやイルマンの指導があり、外国からの援助に依存する面が多かったことは確かですが、それにもまして、一般信徒―かつては平信徒と言われた―から高名なキリシタン大名、名も無き庶民に至るまで、慈善事業に寄進し、自発的に救済活動に参加していました。
 例えば、府内病院開設に当って領主大友義鎮は、田地を提供したが、更に毎年一定額の寄進を申し出ています。大坂、堺では、小西隆佐、行長父子がハンセン病院を建て、その経営に財政的援助を行っています。
 細川ガラシャは、数名の捨て子を邸内に引き取って養育していました。また長崎のミゼリコジャの中心人物は、ジュスチノと呼ばれる金細工商人で、彼の妻ジュスタは、12人の婦人で奉仕団を組織し、養老院を設立して、その世話に当っていたということです。信徒が自発的・積極的な慈善事業へ参加していたという点で、明治以降のカトリックの社会事業と大きく異なっているのではなかったかと思われます。
 明治以降にあって中心となるのは修道会です。キリシタン時代に見られるこの信徒の自発性に、200数十年間パードレもイルマンもいない迫害の中にあって、潜伏キリシタンが生き生きとその信仰を守り続けることができた一つの理由があるように思われてなりません。
 
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書籍紹介
    8858e3b6.jpg
エネルギー技術の
 社会意思決定

日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
 定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授

本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
 共著者・編者
鈴木達治郎
電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本

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教会における女性のリーダーシップ
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント 
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
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「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
定価 2000円 

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「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
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「十戒と主の祈り」
鈴木英昭著
 「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
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われらの教会と伝道
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本

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さんびか物語
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円

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