2023年7月号
№193
号
通巻877号
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ビルマ
戦犯者の獄中記 (30) 遠山良作 著
昭和21年
12月25日
残された容疑者は約400余名と共にクリスマスを迎えた。
キリスト教国である英国にとっては1年中で最も盛大にお祝いをする祝日である。私たちも何か「プレゼント」があるのではないかと期待をしていたが、平日と少しも変わらない。やはりこの刑務所にはキリストも、サンタクロースも来てくれない淋しい一日であった。
クリスマス 英兵の声は 高くして 獄房に響き 今日は暮れゆく
昭和22年
1月1日
西独房で敗戦後2回目のお正月を迎えた。私たち6名は宮崎閣下の音頭で天皇陛下万歳を唱え、東方に向かって宮城遥拝をする。そして戦死した将兵と絞首台で逝った戦友の英霊に対して黙祷を捧げて新しい年を迎えた。
祖国出て 9年経ちたり獄舎にて 父母を恋ひつつ
来し年も 心新たに いざゆかん 己が力を ふりしぼりつつ
我希望 唯一なり いのちもて 祖国に帰らん ことのみ思う
夜になると、宮崎閣下は今日も大きな声を張り上げて、自作の詩「恨みは深し」を歌われた。
恨みは深し
1 恨みは深しアノソ連野郎
ソレモソウジャナイカ
不信不法
不侵条約踏みに破り
火事場泥棒を
アア忘れられようアントナント
2 恨み重なる洋鬼野郎
ソレモソウジャナイカ
原子爆弾
無辜の同胞打ち☆る
暴虐無道を
アノ忘れよかナントナント
3 恨み積る英国野郎
ソレモソウジャナイカ
苛飲朱求
蛾に泣くのを
アノ見てられようかナントナント
4 恨みは深し皇国削減
ソレモソウジャナイカ開国以来
幾多先輩血を流し
アノ忘られようかナントナント
5 恨みを晴らせ御国の敗戦
ソレモソウジャナイカ有事以来
まだ受けない大恥辱
仇討たづに
アノ済ませれようかナントナント
老将軍の 恨みは深しの 歌声は 獄舎ゆさびり 闇に消えゆく
今宵は初夢を見る晩である。昔より一富士、二鷹、三茄子といって、この夢を見るとこの一年は良い年であると昔からの言い伝えがあるから、願いごとを書いて枕の下に敷いて寝ると良いと、林大尉の言葉に従って、せめて夢くらい良い夢を見たいものだと眠りについた。
見た夢は、銃殺されることになった私を縛って広い野原に連れて来た。英兵は銃を向けている。どうやら刑場のようである。いよいよ銃殺されると思い、先に処刑された戦友のように、天皇陛下万歳を叫んだが未だ発砲しないのでひょいと後ろを振り返ると、そこには父と母が立っている姿を見たので、今度はお父さん、お母さん万歳と叫んだが、まだ発砲しない。今度は大日本万歳と叫んだ時、はっと夢から醒めた。窓の外は既に朝日がさしている。全身盗汗をかき寝苦しい一夜であった。
この文章の転載はご子息の許可を得ております。
戦犯者の獄中記 (30) 遠山良作 著
昭和21年
12月25日
残された容疑者は約400余名と共にクリスマスを迎えた。
キリスト教国である英国にとっては1年中で最も盛大にお祝いをする祝日である。私たちも何か「プレゼント」があるのではないかと期待をしていたが、平日と少しも変わらない。やはりこの刑務所にはキリストも、サンタクロースも来てくれない淋しい一日であった。
クリスマス 英兵の声は 高くして 獄房に響き 今日は暮れゆく
昭和22年
1月1日
西独房で敗戦後2回目のお正月を迎えた。私たち6名は宮崎閣下の音頭で天皇陛下万歳を唱え、東方に向かって宮城遥拝をする。そして戦死した将兵と絞首台で逝った戦友の英霊に対して黙祷を捧げて新しい年を迎えた。
祖国出て 9年経ちたり獄舎にて 父母を恋ひつつ
来し年も 心新たに いざゆかん 己が力を ふりしぼりつつ
我希望 唯一なり いのちもて 祖国に帰らん ことのみ思う
夜になると、宮崎閣下は今日も大きな声を張り上げて、自作の詩「恨みは深し」を歌われた。
恨みは深し
1 恨みは深しアノソ連野郎
ソレモソウジャナイカ
不信不法
不侵条約踏みに破り
火事場泥棒を
アア忘れられようアントナント
2 恨み重なる洋鬼野郎
ソレモソウジャナイカ
原子爆弾
無辜の同胞打ち☆る
暴虐無道を
アノ忘れよかナントナント
3 恨み積る英国野郎
ソレモソウジャナイカ
苛飲朱求
蛾に泣くのを
アノ見てられようかナントナント
4 恨みは深し皇国削減
ソレモソウジャナイカ開国以来
幾多先輩血を流し
アノ忘られようかナントナント
5 恨みを晴らせ御国の敗戦
ソレモソウジャナイカ有事以来
まだ受けない大恥辱
仇討たづに
アノ済ませれようかナントナント
老将軍の 恨みは深しの 歌声は 獄舎ゆさびり 闇に消えゆく
今宵は初夢を見る晩である。昔より一富士、二鷹、三茄子といって、この夢を見るとこの一年は良い年であると昔からの言い伝えがあるから、願いごとを書いて枕の下に敷いて寝ると良いと、林大尉の言葉に従って、せめて夢くらい良い夢を見たいものだと眠りについた。
見た夢は、銃殺されることになった私を縛って広い野原に連れて来た。英兵は銃を向けている。どうやら刑場のようである。いよいよ銃殺されると思い、先に処刑された戦友のように、天皇陛下万歳を叫んだが未だ発砲しないのでひょいと後ろを振り返ると、そこには父と母が立っている姿を見たので、今度はお父さん、お母さん万歳と叫んだが、まだ発砲しない。今度は大日本万歳と叫んだ時、はっと夢から醒めた。窓の外は既に朝日がさしている。全身盗汗をかき寝苦しい一夜であった。
この文章の転載はご子息の許可を得ております。
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緑を大切に!
書籍紹介
エネルギー技術の
社会意思決定
日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授
「本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
共著者・編者
鈴木達治郎
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント
スーザン・ハント
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
鈴木英昭著
「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円