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世田谷通信
(119)
猫 草
もう10年以上、正確には何年生きているのか判然としない家のイモリ。最近盛んに脱皮を繰り返す。その脱ぎ捨てた皮をよくみたら、なんと手と足の指の形が綺麗に残っているのだ。指の先端部分の吸盤の形もわかる、極小で半透明の手袋と5本指靴下のようだ。通常は石などに体をこすり付けて脱皮し、すぐに自分で食べてしまうので、こんなのを見るのは初めてだった。早速横に居た長男に「ねえねえ、この脱皮、スマホで撮ってツイッターにアップしてよ!」と言ったが「ウケねーよ」と即座に却下された。そうかなあ。けっこう貴重だと思うのに。面白いと思うのは私だけ?残念な。
そしてうちのウサギ。日々せっせと毛づくろいをするのだが、ネザーランドワーフという種は耳が短い。加えて高齢のためか体が固い。骨格構造上、前肢が短い。以上の条件だと自分で耳の後ろに手が届かない。顔の横まで必死に短い手を伸ばし、耳と首を曲げても、むなしく空を掻いている。何度も挑戦して仕舞いにバランスを崩して後ろにひっくり返る。情けないことこの上ない。一生懸命な姿がいじらしく可愛い。これもぜひ動画でアップして欲しい素材だが、実現していない。これ投稿したら面白かろうに・・と思っても、よくわからない、面倒くさい、でそのまま素通りしている状態なのだ。しかし普段から何か投稿ネタを探している人はチャンスを逃さない。ご飯を食べても、道を歩いても、すぐにアップである。話をしていて「あれ?どうだっけ」という疑問もすぐに検索で中断される。これでは話が深まる気配が無い。
この文章、この写真を投稿したら、「ウケるかも」それだけが判断基準だと、熟慮も校正も推敲もそこにはない。客観的に多角的にみたら、という視点が常にあればよい。しかし自分の瞬間の判断にそこまでの自信は無い。なにせイモリの脱皮に「なんと精巧な!これ大発見!?」と興奮する感性だし。ネット上には真偽入り乱れ錯綜する情報が文字通り氾濫しているので、濁流に泥の一掴みぐらい投げても問題なかろう、と思ったら、たちまち日の光の下にさらされてつるし上げられるのも最近の怖さだ。今日もウサギが届かない耳掃除をしている。なので私もエアー「いいね」を押してみるのである。そして誰とも共有されないけど、自分だけのお宝映像、というのもいいんじゃないか、と思うのである。
・添付のイラストは絵を描くのが大好きな次男がパソコンのペイントツールで描いたものです。
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
いのちのことば社
スーザン・ハント
「緑のまきば」
「聖霊とその働き」