忍者ブログ
2023年7月号  №193 号 通巻877号
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

 「ローマ人への手紙」研究 (107)

 第61課 異邦人の召命とユダヤ人の拒否

       9章1~11章36節(続)

F 神のユダヤ人拒否は最終的なものではない。何故なら、彼らの多くの者がキリストへ立ち帰るからである。

       11章11~36節 (19)

 

「こうして、イスラエル人は、すべて救われるであろう。すなわち、次のように書いてある、「救う者がシオンからきて、ヤコブから不信心を追い払うであろう・・・・」(26節)

 

 パウロは26節の後半で、今まで述べてきたことを支持するために、旧約の聖句を挙げています。彼がここで引用している旧約の聖句がどこから来ているかについて少しく難解な点があります。パウロの引用文に最も近いと思われるのは、イザヤ書59・20でしょう。C・ホッジは、パウロはいくつかの聖句、すなわち、イザヤ59・20~21、27・9、エレミヤ31・31~34、詩篇14・7などを短く要約したのだと考えています。

 「パウロは、古えより約束され、上述の聖句でイザヤが言及していた救いというのは、降臨時のキリストを信じた比較的少数のユダヤ人の回心以上のことを含んでいると教えているのである。この約束、すなわち、ヤコブの家より不信心を取り除くという約束の完全な成就とは、ユダヤ民族全体の主キリストへの回心が考えられているのである」(C・ホッジ)。

 

 私たちはここでユダヤ人たちのパレスチナ帰還の可能性については何も述べられていないことに留意しなければなりません。その理由はパウロがそのことについては何も言っていないからです。この点について、アルフォードは「私たちはこの預言とユダヤ人のパレスチナ帰還の問題とを混同してはならない。ここでの問題は彼らが神の教会に受け入れられることである」と述べています。

 

 「そして、これが、彼らの罪を取り除き去る時に、彼らに対して立てるわたしの契約である」(27節)。

 これは明らかにイザヤ59:21と27:29の引用であり、後者は七十人訳(ギリシャ語訳旧約)のままの引用です。これはパウロが述べていることの旧約からの立証です。「パウロが立証しようとしているすべてのことは、預言者たちの言葉によって明らかに立証されているのです。彼の先祖、人々との神の契約は確かなものです。彼らの背教とそれに続くバビロン捕囚、彼らの離散とキリスト拒否の後、彼らの罪の究極的除去とメシヤの王国への民族としての回復が来るのです。彼らの民族的回心の預言はゼカリヤ12:10にも述べられており、そのほかにも多くの旧約聖句の中にもある」(ホッジ)。

 

 私たちが未来におけるユダヤ人たちのキリストへの回心について語る時、それはユダヤ人の個人一人一人が、キリスト信者になるということを意味しているのではないことを、よく認識すべきです。「勿論、今パウロはキリストが来られるとき、ユダヤ人すべてが救われるということを意味してはいない。もしそうなら、彼らはすべての異邦人も救われると考えていると言われても仕方がない。彼が11:12で、イスラエルの罪過が「世の富み」「異邦人の富み」となったと語っているが、そのことはすべての異邦人の回心を意味していないのと同じように、彼は「イスラエル人はすべて」によってすべてのユダヤ人の回心を意味しているのではないのである。とにかく、万人救済という思想は聖書には全くないことを銘記すべきである」(David Freeman:he Bible and Things to come.p69)。

 

 J.G.ヴォス著

 玉木  鎮訳

(日本キリスト改革派引退教師)

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
ブログ内検索
カウンター
★ごあんない★
毎月第一日更新
お便り・ご感想はこちらへ
お便り・ご感想くださる方は下記のメールフォームか住所へお願いいたします。お便りは「つのぶえジャーナル」の管理人のみ閲覧になっています。*印は必須です。入力ください。
〒465-0065 名古屋市名東区梅森坂4-101-22-207
緑を大切に!
お気持ち一つで!
守ろう自然、育てよう支援の輪を!
書籍紹介
    8858e3b6.jpg
エネルギー技術の
 社会意思決定

日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
 定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授

本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
 共著者・編者
鈴木達治郎
電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本

      d6b7b262.jpg
教会における女性のリーダーシップ
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント 
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
217ff6fb.jpg 








「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
定価 2000円 

b997b4d0.jpg
 









「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
 a0528a6b.jpg









「十戒と主の祈り」
鈴木英昭著
 「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
4008bd9e.jpg
われらの教会と伝道
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本

0eb70a0b.jpg








さんびか物語
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円

Copyright © [   つのぶえジャーナル ] All rights reserved.
Special Template : シンプルなブログテンプレートなら - Design up blog
Special Thanks : 忍者ブログ
Commercial message : [PR]