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世田谷通信
(121)
猫 草
家の近所の冬枯れのススキの河原。河床工事や度重なる台風の襲来で草一本無かったのにすっかり見慣れた風景ね。でも何か違和感を覚えて、立ち止まってもう一度河原をみた。あれ?ススキじゃない。よく似ているけどこれはヨシだ。昨年までは確かにススキ野原だった。だってお月見に何本か折ったもの。なのに、今年気がつかぬうちに総入れ替えとなっている!
まあ、誰にも迷惑はかかっていないようだ。見た目は似てるし。生物層とか変わっているのかもしれないけど、深く考えるのはやめにしてその場はやりすごした。
そういえば、長男が夏休みに植生調査とかで多摩川の写真を撮影してきたが、セイタカアワダチソウ、アレチマツヨイグサ、ハルシャギク、アレチウリ・・猛々しい外来生物の見本市のようだった。表面上は緑に覆われて元に戻ったように見えるけれど、密かに外来種に代わり固有種は根絶して、植生は変化しているのだ。
では日本古来の植物って何?とは言っても、どのあたりが日本固有なのかすでに判然とはしない。平安時代に大陸から持ち込まれ薬用・観賞用として珍重された果てに帰化した、なんて七草に入ってるし。そして外来種の持ち込みはそれこそ平安の昔から今に至るまで、園芸や食用、或いは荷物や作物にくっついて、意図する・しないに係らず、この瞬間にも続いている。
日本の動植物も海を渡れば外来種。例えばクズといえば夏にはあちこちの斜面にはびこり、葛湯に葛根湯とゆかり深い植物だが、アメリカで電線にからみつき猛威をふるっているとか。後ろ足をぴっと伸ばして可愛らしいマメコガネも外国では害虫として困ったことになっているとか。
植物も動物もボーダーレス・・言葉も考え方も。外国から入ってきて、日本語も伝播して、和語も漢語もカタカナ言葉も渾然一体となっている。またそれを日本語の乱れとか問題視する人も、言葉も生き物だからよしとする人も居て。
意識しているうちはいいのだけれど、いつものススキ野原だと思っていたら、ある日見知らぬ風景にすり替わり、さて化かしたのやら化かされたのやら。
*この添付のイラストは絵を描くのが大好きな次男がパソコンのペイントツールで描いたものです。
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
いのちのことば社
スーザン・ハント
「緑のまきば」
「聖霊とその働き」