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2023年7月号  №193 号 通巻877号
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「あなたに聖書を」

「キリスト教百話」・・・22

問19 前回、「敵は愛すべき者」と見定めるところ、自他の救いがあると言われましたが、敵をそう見定めるなんてことができるでしょうか。

答   頭の中でそう考えていても、実際に敵が目の前に現れた時には、防戦に努めるか、敵をやっつけてしまわいことには納まらないでしょうね。敵がいなくなってはじめて安心と言うわけですからね。・・前回の続き・・

 

 それは、例えば遺産相続を巡って兄弟間に争いが起こることがあります。場合によっては他人との間にも起こらないような憎み合いや仲たがいが生じます。裁判所での調停によってある程度の事柄の処理はされますが、それで必ずしもすっきりするわけではなく、その後、兄弟間の付き合いは全く絶えてしまうこともあります。

 こういう時に、もし親が現われて、「遺産を残したのは子供たちのことを思ってのことであって、兄弟を仲たがいさせるためなんかでは絶対になかったし、すべての子供は同じように愛してやまない存在であって、そういう風に親が大切にしている者に憎しみを抱くなんて悲しいことをしてくれるな」と言ったとしたらどうでしょう。そういう自分たちの親の気持ちが分かって「ああ、そうだった。親の気持ちも考えないで自分のことばかり考えていて申し訳なかった。お互いに親の気持ちを大切にしよう」と言ったら、兄弟間の和解が成り立ちます。

 この場合、親は子供たちを超えた者として存在し、しかも、子供たちを愛している者として存在しています。そしてまた子供たちは子の親の愛にふれて、自分たちが見当違いをしていたことに気付いて、自分たちを超えた親の思いに即して生きる、という新しい生き方をすることになります。この場合、親は絶対的な他者ではありませんが、少なくとも子供たちを超えている他者です。

 この他者の思いが伝わった時、自己の思いを拠り所としていた自分に、自分を知る新しい目が与えられることになります。自己絶対化の自己から、自己を相対化させられます。親の側では「ああ、息子たちがわたしのことをわかってくれて嬉しい。救われた気持ちだ」ということになることでしょうし、息子たちの側でも「親が喜んでくれてよかった。もしそうならなかったなら、おれたちは救われないままだったろう」と言うことになります。

 キリストは「敵を愛しなさい」と言われた時、その前提として「父は悪人にも善人にも太陽を昇らせ、正しい者にも正しくない者にも雨を降らせてくださる」方であると告げられています。子供が優等生だろうと落ちこぼれあろうと、親の子に対する愛情に変わりがないように、天の父である神は、人間の側で善悪や正不正の判断をしても、そんなことに関わりなく、すべてのものを愛しておられる。

 そういうことから言えば、神は「あなたにとって敵である者もわたしにとっては大切な子である。あなたと同じように・・・」と言われているのである。そういうことが分かる時、人間は自分に即してしか考えていない自分から解放されて、神の側の視点によって自他を見ることが出来るようになります。このようにして今までの自己から解放されて神の愛による新しい視点を与えられることが「救われる」と言うことであります。 

    篠田 潔

(日本基督教団隠退教師・元「キリストへの時間」協力委員・ラジオ説教者)

    <10月のラジオ放送予定>  

   10月5日 横山良樹(日本基督教団半田教会牧師)

     12日 横山良樹(日本基督教団半田教会牧師)

     19日 佐藤秀吉(日本基督教団幸町教会牧師)

     26日 佐藤秀吉(日本基督教団幸町教会牧師)

          (放送開始1952年10月)

CBCラジオ「キリストへの時間」(1053KHZ

毎週日曜日朝6時30分~45分放送

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書籍紹介
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エネルギー技術の
 社会意思決定

日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
 定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授

本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
 共著者・編者
鈴木達治郎
電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
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教会における女性のリーダーシップ
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント 
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
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「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
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定価 2000円 

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「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
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「十戒と主の祈り」
鈴木英昭著
 「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
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われらの教会と伝道
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
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さんびか物語
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円

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