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2023年7月号  №193 号 通巻877号
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さんびか物語 (8)

    (広く愛唱されている50曲)・・・7     

 ポリン・マカルピン著

          (米国南長老教会婦人宣教師) 

讃美歌79番

  ほめたたえよ、つくり主を

<神様のみ言葉>

「主に感謝せよ。主はまことにいつくしみ深い。その恵みはとこしえまで」。

              ~詩篇107編1節~

 この讃美歌79番は父なる神、大能の神を歌っているもので、ここで素晴らしい感謝の歌を考えてまいりましょう。この讃美歌は、米国では感謝祭の礼拝でかならず歌われるものの一つです。この讃美歌にみられる深い感謝の心は、感謝祭の時ばかりではなく常に持ち続けなければなりません。

 

 讃美歌79番の曲の方は、非常に古いもので、16世紀の中頃のスペイン、ホルトガル、オランダにはいろいろな愛国の歌が広く歌われていました。その時の有名な音楽家の一人が、アードアヌス・バァレリウスと言う人でした。

 バァレリウスは、その愛国の歌を一つの聖歌集に納めて、1626年、彼の死後間もなく、ハーレム(Haarlem)で発表されました。彼の発表した聖歌集の中で、特に有名なものが、われら主なる神に祈りまつるという感謝の聖歌でした。

 この歌のメロデーが讃美歌79番の曲の原旋律であり、そのもと歌は、古い民謡の旋律でした。このようなわけで、私たちの讃美歌には、古いオランダの旋律と記されているのであります。

 残念なことに、この歌集が発表されて後、200年もの間この聖歌集は忘れ去られていたのですが、幸いにもウイーンに住んでいた音楽家エドワード・クレームザーによって発見され、1877年に男性合唱曲としてドイツに紹介されました。クレームザーの編曲によってドイツで普及し、更に他の国々に広まりました。讃美歌79番の曲名は、この歌を初めてドイツに紹介したクレームザーの名前KREMSERと呼ばれるようになりました。

 79番の歌詞の方は、あまり古いものではありません。原作者ジュリア・B・ケディ・コリーは1882年ニューヨークの有名は建築家の娘として生まれました。ミス・ケディはニューヨークのブリック長老教会の教会員でした。後に彼女は、ロバート・H・コリーと結婚してから、イングルウッドに転居しました。1904年コリー夫人は、ブリック長老教会のオルガニストをしていた、J・アチャーギブソンから依頼されて、新しい歌詞をクレームザーの曲に合わせて、この素晴らしい讃美歌を作りました。

 彼女自身の話によりますと、この讃美歌の言葉は16世紀末、オランダが解放された時に歌われた勝利の歌とは、全く別の言葉を用いて、新しいオリジナルな詩であるということです。ここでコリー夫人がお書きになった、素晴らしい言葉を共に学びましょう。

<79>

1 ほめたたえよ、つくりぬしを、

  きよきみまえにひれふし、

  ささげまつれ、身をも魂をも、

  たくいなき御名をあがめて。

 1節で、私たちにすすめていますことは、造り主なる神様をほめたたえることであります。ほめたたえよ、造り主を、きよき御前にひれふしとあります。私たち人間は、今日、何を神として崇めているでしょうか?偶像の神々でなないでしょうか。持ち物ではないでしょうか。

 私たちひとりひとりを造られた主、よろずの物を造られた主をほめたたえるのは当たり前のことではなでしょうか。しかし、事実多くの人々は、神様をほめたたえるのではなく、己をほめたたえています。神のきよきみ前にひれ伏すどころか、欲の奴隷になり、富にひれ伏しています。しかし、私たちの神様の類いなきみ名を崇め、身も魂をも捧げ全き服従に生きる時、まことの平安と喜びを知ることが出来るのであります。

2 くすしきかな、かみのちから、

  あらぶる波をしずめて、

  あやうきより御民を守り、

  この世のなやみに勝たしむ。

 2節では、神様のくすしきみ力を歌っています。そのみ力は、荒ぶる波を静めることがお出来になり、私たちをあやうきより守って、この世の悩みに勝たしむみ力であると記しています。

 詩編107編の作者ダビデも主があらしを静めると、波はやんだ。波がないだので彼らは喜んだ。そして主は、彼らをその望む港に導かれた。(107:29~30)と歌っています。あなたも、主のくすしきみ力をご自分のものとなさいませんか。あなたを、その望む港へ導かれる主を、お求めになりませんか。

3 めぐみの神、さかえの主を

  もろごえあげてたたえよ。

  つよき手もてみちびきたもう

  主にのみみさかえつきざれ。

 3節で作詞者の讃美は、素晴らしいクライマックスに達します。もろごえあげて恵みの神、栄えの主をたたえよと歌っています。詩編の作者も主に贖われた者はこのように言え。主は彼らを敵の手から贖い、彼らは、主の恵みと、人の子らへの奇しいわざを主に感謝せよ。と歌っています(2、8)。また「この苦しみのときに、彼らが主に向かって叫ぶと、主は彼らを苦悩から救い出された。また彼らをまっすぐな道に導き、住むべき町へ行かせられた」と6~7節に記されています。

 神様が強き手もて導きたもうまっすぐな道は、永遠のいのちへの道であります。私たちの住むべき永遠の町、天国に行き着くまで導きたもうのは、生けるまことの神様であられます。あなたもこの強きみ手に依り頼み、この世の荒海から守られて、住むべき永遠の町に着くまで、まっすぐに進んで下さい。

 =「さんびか物語」は「つのぶえ社」の出版(第一刷1974年、第二刷1992年)で、出版社の許可を得て掲載しています。本の購入を希望される方は、「つのぶえ社」までご注文ください=

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