2023年7月号
№193
号
通巻877号
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小閑記
「妻の無言の行いによって信仰に導かれるようになるためです」
この「行い」というのは、その原意は「歩み」です。妻は黙って歩き続ける。その無言の妻の歩みを通して夫が説得され、「救いに導かれるようになるためです」。
この「導かれる」という言葉は「獲得される」という意味の言葉です。獲得されるというのは、何か変な言葉かもしれませんけれども、しかしこれは当時、救いに入れられるという時に、ごく普通に使われた言葉であります。神のものになる、神様のものとして獲得されるという意味であります。
あるいはまた、どうしても動かすことができないままに、私どもの手の向こう側にあったものが、突然、こちら側に入ってきてくれたということであります。そのように、妻の言葉ではなく、行いが意味を持つというのです。
これは驚くべき発言です。教会では何よりも言葉が語られる。言葉が重んじられる。それがキリスト教会の特質です。語り、聞く言葉です。ここでは、無言の行いが重んじられる。そういうのです。
もちろん、「無言の行い」を語っても、これは言葉などは、無用、無力であるから、言葉を捨てて行いに徹しよう、というようなことではない。また、特に道徳的な意味で優れた行いが、言葉に勝る力を持つというのではない。
しかし、信者である妻がみ言葉に従がう敬虔な、貞節な清い、節操の正しい生活をするならば、福音の説教に耳を傾けない夫も、その妻の無言の行状を見ていて福音を聞き、福音の説教を聞き、福音の恵みに刈り取られるように心が次第に備えられます。
「あなたがたのうやうやしく清い生活を見て」とありますが、この「見て」という言葉は「注意深く見る」「ある感情を込めて見ている」という意味の言葉です。
妻の敬虔な行為を見て無関心でおれなくなることを意味します。
(加藤常昭著・
第1 ペトロ3・1)
「恵み」
それを別な方面からいえば、人間は神に対して罪を犯している者であります。誰も、罪を犯したいと思う人はありません。しかし、どうしても罪を犯すこと無しに生きていけないのが人間なのであります。しかも、自分で、自分を救う力を持っていない者なのであります。罪を犯すまいと思えば思うほど罪を犯すものであります。その故に、神に背き、神から離れるのです。そのために、生きることに、まことの意義を見出すことができず、望みのないままに、死を待つ生活になり、それを、自分たちで作った喜びで慰めているのであります。
その時、与えられたものが十字架の救いであります。これは、われわれが、神に対して、よいことをしたからでもなければ、神を満足させるような生活をしたからでもありません。
ただ、キリストの十字架によって、その罪が赦された、というだけのことであります。罪を犯しているのに、神に赦された、というだけのことであります。それ故に、この救いこそは、まことに恵みであった、ということが出来るのではないか、と思います。
神が、人間にお与え下さる最良の賜物が、実は、この恵みであったのであります。しかし、それはある時、必要だから得たというようなものではありません。何時も、どんな時でもそうでなければならないものであります。言い換えると、神と人間との関係を正しくする、ということであります。罪を犯しているのに、神に赦されて、まるで、罪がないかのように取り扱っていただくのであります。したがって、それは、この時には必要だが、あの時には不必要である、というようなものではありません。
何時、どんな時にも、必要なのであります。それでなければ、神に赦されて、神のものとされ、愛されている確信を持つことが出来ません。ようにということでありました。このような神のご好意は、われわれが御心に適うようにした、ということによるのではなく、全く、神がわれわれに、この喜びをお与え下さったのであります。
何の値もなしに、与えられたものであるから、これは、恵みなのです。神の恵みによって与えられた恵みこそが、人間が、多くの失敗、罪の中でも生きることが出来る理由なのです。
それ故に、パウロは、先ず、その恵みに支えられるように、と祈ったのです。
(竹森満佐一著・ピリピ1・2)
上河原立雄
(日本キリスト改革派教会引退教師)
これらの文章の転載は許可を得ております。 上河原記
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書籍紹介
エネルギー技術の
社会意思決定
日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授
「本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
共著者・編者
鈴木達治郎
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント
スーザン・ハント
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
鈴木英昭著
「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円