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世田谷通信
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猫 草
高校生の長男が持ち帰ってきた小論文講習の課題が興味深かった。「あなたが欲しいと思う『ドラえもん』秘密道具の説明とその理由を述べよ」というもの。高校生、理系用の課題なので、それなりの論理展開が期待されるところだ。
ドラえもんが「じゃじゃーん」とポケットから出してくれる便利な道具というのは「未来の技術への期待」であり、それによって可能となる未来の姿への夢想でもある。コストや資源、技術的な壁を全てとっぱらって、「できたらいいな」と願うのは何だろう。まず、これは駄目だなと思うもの。人の心をコントロールする系。そりゃ戦争や紛争はなくなってほしい。でも、何らかの作為で他者の心をコントロールしようとした時点で、もうそこに平和はない。
じゃあ、超人的な能力を持つことができる道具はどうだろう。現在でも介護や農作業などの負担を軽減するパワースーツは実用化されている。もっと凄いものは?スーパーマンみたいな。いや、あまりにも突出したパワーは世界のバランスを崩しはしまいか。悪用されたらどうする?
そうなのだ。単純に「できたらいいな」と夢をみる前に「もしこれが犯罪に使われたら」「もし意図以外の使われ方をして事故が起きたら」という危機管理にばかり気持ちが向く時点で、もう素直に夢を見られる年齢ではないのかもしれない。
食品添加物、農薬、遺伝子組替にしても、生産性、保存や風味、食味、見た目、様々なメリットがあったからこそ使用し始めたのだろう。もし仮に、後になってから健康被害が出たとしても、条件が複合的で複雑なリスクほど事前に察知することが難しい。だからといって技術の進歩を止めることはできない。
さて、長男に「どんな道具について書いたの?」と聞くと、「自分の脳をパワーアップさせる道具。人間の脳ってほとんど使われていないんでしょ?だからイルカみたいに半分ずつ脳を眠らせて、ずっと起きていられたら受験に有利かなと思ってさ」だそうだ。ほう、半球睡眠ね。なるほど。日々睡魔と闘っては負けている高校生らしい夢の道具だ。
ちなみにイルカは右脳が眠っているときには左目を、左脳が眠っているときには右目を閉じているそうだが、終日パフォーマンスが半分にならないかしら・・。いや、水を差すのはやめておこう。あったらいいな、の夢を見る心こそが、技術進歩への原動力だから。
*この添付のイラストは絵を描くのが大好きな次男がパソコンのペイントツールで描いたものです。
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
いのちのことば社
スーザン・ハント
「緑のまきば」
「聖霊とその働き」