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2023年7月号  №193 号 通巻877号
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松田重雄が観た「切支丹燈籠の世界」(3) 
 
 「切支丹灯籠への思い」(2)
 
 「あなた方に言うが、もしこの人たちが黙れば、石が叫ぶであろう」(ルカ19:40)
 
 石が語る(2)
 科学にしろ、歴史の研究にしても実証する手段、資料が重要視されます。しかし、残されている資料そのものに疑いのある場合があります。特に、歴史に関する場合の戦勝記録などはその類でしょう。戦国時代の絵巻物や書き残されたものの多くは勝者のもです。歴史は勝者の側だけでなく、敗者の側からも考えることは大きな意義があると思われます。
 切支丹という言葉の後に続くのは『迫害・弾圧』です。事実、日本の歴史の中で起こった島原の乱に係わる出来事は切支丹にとっては迫害そのものでした。その凄惨さは過酷きわまるもので、島原半島の領主有馬重政の行為は残酷非道なものであったと言われています。権力者・為政者にとって不都合な者に加えられるものはその類でした。
 
89612a39.jpg 島原の乱最後の舞台となった『原城』の発掘調査が360年あまりにわたって封印されていた闇から歴史の中に登場されてきました。
 外山幹夫氏(長崎大学名誉教授)は、「原城といえば、いわずと知れた「島原の乱」の舞台である。私はこの保存管理・調査整備に関わって、かれこれ30年近くになる。ここ数年、発掘によって、乱に関する多くのものが出土してわれわれの眼を驚かせている。一方、この城は天正期以前、肥前最大の戦国大名であった有馬氏の抱城(かかえじろ)として長い歴史がある。有馬晴純入道仙岩の時に全盛期を迎え、島原半島を中心とする高来郡の他、藤津・小城・杵島各郡に及び、天文8年当時、肥前守護職(しき)の地位にあった(大館常興日記)。日野江城を本拠としながら、家臣の増大に伴いより大規模な原城を持つ必要があったのである。こうした観点からも城の構造は注目されるのである。そして元和元年の一国一城令、また乱後一揆の拠点へ、幕府当局の憎しみによる二度の破却の有様も注目される」と記しています。
 「島原の乱」はなぜ起きたのでしょうか。一連の発掘資料から、土からの声として、その原因を悪政、すなわちよそ者(松倉重政)によって地元の人を経済的にも精神的にも圧迫した純粋な農民一揆であったとも言われています。
 土は語ります。宗教者の争い。切支丹王国・有馬領では、40を超える寺社が破壊され、仏像はことごとく薪としてくべられてしまったのです。
 …。島原半島においては、キリシタン迫害の歴史ばかり強調されるが、キリシタン大名・有馬晴信の時代では立場はまったく逆だった。そこは仏教徒のほうが異教徒とみなされキリシタンの王国だった。天正8(1580)年、晴信がキリシタンに改宗したおり、3ヶ月で40を超える領内の寺社が破壊され、僧侶たちはキリシタンへの改宗か、この地を去るかを迫られた。そして、領内の主要な寺社とその地所はイエズス会の教会やセミナリヨ(神学校)へと変わった。当時、佐賀の龍造寺氏の侵略に悩まされていた晴信は改宗し、イエズス会と結ぶことに自らの命運を託した。天正12(1584)年、晴信は龍造寺氏との戦いに勝利し、領地を確保することができたが、イエズス会では自分たちの援助なしには晴信の勝利はなかったとまで言っている。一転、迫害される身となった僧侶たちは口之津近くの小島(岩戸山)に各地から集めた仏像を隠したが、宣教師たちはこれをいやおうなく摘発した。「折から寒い季節のことで、口之津の我ら司祭館では炊事用の薪が欠乏していた。これらの仏像はただちに割られて全部薪にされ、かなりの日数、炊事に役立った」(フロイス・日本史)とある。
 これもまた、南島原市南有馬町古園の土中から発掘されている宝篋印塔群(ほうきょういんとうぐん)から、仏教徒によりひそかに丁重に埋められたものと推測されている。
詳しくは「南島原市の原城跡関連のホームページ」で検索してください。
 
 何時の時代、何処の国にも信仰・宗教間の争いにはその大切にしているものへの攻撃・破壊がありました。徹底的破壊か見せしめ的なものがあります。近年ではタリバーンによると言われているバーミヤン遺跡の破壊、1868(慶応4)年の神仏分離令に拠って起こった仏教排斥運動の「廃仏毀釈」(はいぶつきしゃく)などを見ることができます。 
 
 
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書籍紹介
    8858e3b6.jpg
エネルギー技術の
 社会意思決定

日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
 定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授

本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
 共著者・編者
鈴木達治郎
電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本

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教会における女性のリーダーシップ
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント 
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
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「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
定価 2000円 

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「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
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「十戒と主の祈り」
鈴木英昭著
 「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
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われらの教会と伝道
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本

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さんびか物語
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円

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