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世田谷通信
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猫 草
ブックフェア、というものがある。学校や自治体の図書館に今年度何を購入するかの参考にする、新作・売れ筋本の見本市・展示会である。広いホールや体育館の中にたくさんの机が並んでおり、その上に数千冊のジャンル別学校図書館向け新刊、おすすめ本が置いてある。箱には注文用のスリーブの束がくっついている。スリーブというのは本に挟まっている書名のしおりみたいなものである。お目当ての本の中身をチェックして「これはなかなかいいね!」と思ったらスリーブを1枚引き抜く。たくさんの図書館関係者がぐるぐる展示会場を歩き回って、何冊も何冊も本を見て、手にはスリーブがたまっていく。それをパソコンスペースにもっていくと、即座に注文書を作ってくれる。そのまま注文もできるし、検討するもよし。また別のコーナーは商談もできるように出版社の人が笑顔で待機している。本屋さんとも図書館とも違う、一種独特の雰囲気だ。あえて言うなら一番近いのは魚河岸かもしれない。
似ているがちょっと違うのは自治体図書館主催の「リサイクル本払下げ」の場だ。年1回、ここにも図書館関係者が集うのだが、すべて廃棄直前の本なので、やや古いものばかり。会議室に可動式のブックカートが並び、本がぎっしり詰めてある。選書は基本的に早い者勝ち。1時間の制限時間内にカートから自分のテーブルに運んで、図書館名の入った段ボールに箱詰めしたらその図書館のものというルールだ。たまに自分の図書館蔵書で足りない巻があったりするので、掘り出し物を求めてみんな物凄いスピードで本の背表紙をチェックしていく。静かなバーゲンセールという雰囲気だ。
本に関わるのが仕事の人たちの、不思議な共有空間がそこにある。自分が読むためではない、たくさん購入して、古いものを捨てて、大量の本に囲まれて過ごす。そんな作業を繰り返している。ネット社会、電子書籍の趨勢で本が売れないとはいうものの、まだまだ本の世界は厚くて深い。
*この添付のイラストは絵を描くのが大好きな次男がパソコンのペイントツールで描いたものです。
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
いのちのことば社
スーザン・ハント
「緑のまきば」
「聖霊とその働き」