忍者ブログ
2023年7月号  №193 号 通巻877号
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

863c3fb7.jpg…キリスト教…
    社会福祉活動のあゆみ(10
  キリスト教公認後の貧しい人々への救済(3)
   中世教会の貧困問題の対策の基本原則(1)
 
 初代教会、信徒はお互いに支え合う(一般には原始共産制と呼ばれている)生活をしていたことは、既に考えてきました。それは、後々まで生かされて、教父たちの中には、力強い言葉で、慈善は正義の行為であって、慈悲の行為ではないと宣言する人たちもいました。
 聖アンブロシウスは、富者の施しは、厳密に正義の点から見て、貧しい人に返すべきものであると「あなたが貧しい人に施しをしているのは、あなた自身の所有物を施しているのではありません。貧しい人が権利として所有しているものを、貧しい人に戻しているに過ぎません。なぜなら、万人が使うために一人一人に与えられてものを、あなたは自分だけで使うために取ってしまったのです。…。このようにあなたは、気前よく与えているのではなく、あなたの借金を支払っているに過ぎないのです」(沈黙への旅)と書いています。
 キリスト教徒は、自分の利益の10分の1は、貧しい人々に施すべきであるとも主張されていました。中世の人々の貧困に対しする態度は、自発的な貧困・困窮それ自体は善である禁欲主義の一形態で、神に受け入れられる状態であるという教会の教義によって影響を受けていました。しかし、時として、貧困一般についての中世の態度に及ぼしたこういう教義の影響を誇る傾向がありました。けれども、実際には、中世の人々は神聖な貧困と卑しい非自発的な欠乏とを区別して、後者が高い道徳的価値を生むものではないと思っていました。
 何時の時代でも同じですが、中世の神学者たちは、非自発的な貧困の状態は、盗みや偽誓への強い誘惑を起こさせるものであると指摘しています。また、貧しい人々を3つの範疇に分けて考えられました。
 第1には、貧しく生まれ、しかも神の愛のために、その貧困に喜んで耐えている者。
 第2は、キリストに倣うために、全所有物をなげうって貧しい人々の仲間に加わっている者。この2種の貧困は、自発的貧困と呼ばれていました。
 第3の貧困は、飽くなき貪欲に満ちた者たちで、この種の貧困は必然的あるいは非自発的貧困と呼ばれていました。
 中世には、現代社会のように法律や制度によって、人が困窮に陥ることを阻止するような考えはありませんでした。むしろ、貧困そのものに貧困阻止の力があるとする信仰に立っていました。それは、貧困は、悪徳であって、法的に処遇するものとは考えなかったのです。
 この点では、中世教会法の基本的な考え方とイギリス救済法との間には、明らかに相違がありました。例えば1909年の「イギリス救貧法および失業に関する王立委員会」の多数派報告書に窮乏の全ての事例は、市民的性格の欠如を前提にしています。
 このような考え方の風土に立つ限り、貧困の状態は社会的な汚辱であるばかりでなく、明確な法的無能力を意味することは当然で、それにも関わらずイギリス貧困法における作業場テストや劣等処遇の考え方は、中世社会には存在しなかったことです。
 
 
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
ブログ内検索
カウンター
★ごあんない★
毎月第一日更新
お便り・ご感想はこちらへ
お便り・ご感想くださる方は下記のメールフォームか住所へお願いいたします。お便りは「つのぶえジャーナル」の管理人のみ閲覧になっています。*印は必須です。入力ください。
〒465-0065 名古屋市名東区梅森坂4-101-22-207
緑を大切に!
お気持ち一つで!
守ろう自然、育てよう支援の輪を!
書籍紹介
    8858e3b6.jpg
エネルギー技術の
 社会意思決定

日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
 定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授

本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
 共著者・編者
鈴木達治郎
電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本

      d6b7b262.jpg
教会における女性のリーダーシップ
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント 
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
217ff6fb.jpg 








「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
定価 2000円 

b997b4d0.jpg
 









「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
 a0528a6b.jpg









「十戒と主の祈り」
鈴木英昭著
 「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
4008bd9e.jpg
われらの教会と伝道
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本

0eb70a0b.jpg








さんびか物語
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円

Copyright © [   つのぶえジャーナル ] All rights reserved.
Special Template : シンプルなブログテンプレートなら - Design up blog
Special Thanks : 忍者ブログ
Commercial message : [PR]