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世田谷通信(148)
猫 草
久しぶりに水族館へ行く機会があった。次男が水族館や動物館好きだった数年前は毎週のように通っていたのだが、しばらくぶりである。
入るとまず巨大水槽は定番。いったい何トンの水だろう。もしガラスが割れたら(もちろん滅多なことでは割れませんが)そりゃもう凄い水圧だろうなあとか、余計なことを考える。
フロアは基本的に暗くて水槽は明るい。水槽の奥から正面のガラスに向かって光を当てている。これは人間が魚を見やすいのと同時に、魚からは人間が見えにくくストレスを減らす効果がある。と、とても臆病なチンアナゴの水槽でエサをあげている飼育員さんに教えてもらった。展示の手前にいるのは前からいる個体、奥が新顔。確かに古株は時間と気配で砂からニューっと体を伸ばしてエサを待っているが、新入りはびくびく様子をうかがっている。でも少ししたらみんな穴から体を伸ばしてエサのプランクトンを食べていた。
もう一つ、この際ぜひ見たかったのがカイロウドウケツである。これは長男が片利共生の例だと教えてくれたのだが、深海にすむサンゴに似た生き物で、見た目はガラス繊維でできた20センチほどの細長い籠形をしている。その中に住んでいるのがドウケツエビ。必ず雌雄ペアでいる。籠の口は閉じているので、エビは外敵から守られるが、外にも出られない。夫婦で一生をその中で過ごすことから「偕老同穴」という名前がついているのだ。珍しい深海生物なので展示している水族館はめったにない。飼育員さんに聞いたらここでも飼育は極めて困難で、中のエビは生きているが、籠のほうは死んでいるのだそうだ。理由はカイロウドウケツ自体、何を食べどう暮らしているのか生態がよく分かっていないから。せっかくなので色々聞いてみる。必ず夫婦1組だけ?余計な1匹が同居することはない?その質問自体が余計なお世話という気もするが、成体では夫婦だけだそうだ。でも深海にドウケツエビの家となるカイロウドウケツが沢山あるわけではないので、ペアになれなかった個体は住処がなく、他の魚のエサに・・という悲しい現実が待っている。キラキラと宝石箱のような魚の世界だが、ここでも生きるために縄張りとエサを巡って覇権を競っている。外から見れば夢のように美しくても内側は甘くない。シビアな一面でもある。
*この添付のイラストは絵を描くのが大好きな次男がパソコンのペイントツールで描いたものです。
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
いのちのことば社
スーザン・ハント
「緑のまきば」
「聖霊とその働き」