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世田谷通信(149)
猫 草
明治から大正の建築物が好きなので時々見学する。あえて伝統建築ではなく目新しい洋風建築を依頼する施主にも財力と進取の気性があるし、挑戦する設計施工側にもこの際、斬新で素晴らしい作品を作ってやろうという気概がある。随所に凝った「余裕」が見られるのだが、典型的なのがステンドグラスである。ちょっとしたドアの隙間、サンルームの仕切り、広々としたリビングに。複雑な色と光を取り入れたデザインはとても効果的だと思う。
ヨーロッパの教会建築にあるステンドグラスは天井から降り注ぐ光のシャワーといった豪華さ。確かに素晴らしいが、圧倒的で威圧的、要は権力の象徴。パイプオルガンは似合うが、暮らすには荘厳過ぎる。
明治、大正、昭和初期あたりの私邸のステンドグラスは、生活のちょっとしたお洒落という感じ。名古屋の川上貞奴邸は深い青と紫の艶やかな色合い、風景や人物のデザインも秀逸、その近所にある井元為三郎邸は落ち着いた配色とトランプの幾何学模様がシック。桑名にあるジョサイアコンドル設計の私邸にも美しいステンドグラスが残っているという。ガラス素材があると、部屋が軽やかになり、瑞々しい趣がでる。
東京都庭園美術館のルネ・ラリック作、入口にあるガラスレリーフ扉の神秘的なこと。翼を広げた女性の優雅さ、乳白色のガラスの色合い。他の素材は考えられないでしょう、というぐらいピッタリである。
和風建築で光を通すのは障子や格子だったが、ちょっと色が加わるとこんなにあか抜けるのか、とハッとする。こんな家に住みたいものだ。
と、これだけ礼賛してきたが、自分でステンドグラスに挑戦することは無理。まずガラスを切る・・と想像しただけであのキリキリ音で鳥肌になるからだ。そんなわけで家の窓にはお手軽ステンドグラス風シートが貼ってある。結構きれいですよ。なんとも安い結論ですが。
*この添付のイラストは絵を描くのが大好きな次男がパソコンのペイントツールで描いたものです。
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
いのちのことば社
スーザン・ハント
「緑のまきば」
「聖霊とその働き」