[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
世田谷通信(154)
猫 草
世田谷トラスト協会の里山保全活動に参加することにした。きっかけは生物多様性や里山の本を読んだこと。近所には国分寺崖線に沿って湧水や緑地などが残っている。急傾斜で開発しにくい土地というだけではない。マンション建設計画があっても、あえて開発せずに買い取って保護して残している。その活動に興味を持った。
そもそも守るべき自然とは何だろう?これだけ人の都合で改変しておきながら今更「自然」なんてあるか、という気もする。反面、人がちょっと手を加えたからって「自然」はもっと高みにあり頑健ではないかとも思う。
固有種を保護するために外来種を駆除するのは正しいのか。何かを守れば、何かを捨てることになる。その選択は単なる自己満足ではないのか。平安時代に渡来して七草にまで数えられているような植物はもう日本の固有種って呼びたいぐらいだがそれでもまだ外来種なのか。生物多様性だの遺伝子バンクだのと言っても、人間に都合の悪い害虫や害獣、病原菌は根絶しようとするではないか。ブラックバスは釣りのために人間が持ち込んで、増えすぎてワカサギを食べるからと駆除の対象になっているが、そもそもワカサギだって商売になるから持ち込んだ外来種であり。要するに人間の経済活動や利便性の枠に則っているかどうかが判断基準ではないのか。
そんなモヤモヤを抱えつつ、とりあえず活動に参加してみる。10人ほどのメンバーは皆さん、リタイアした年代のベテラン揃い。それぞれの得意分野、植物や鳥や水生生物に造形が深い。植物や昆虫は詳しいと自分では思っていたが、一歩里山に入ると斜面がきつくて周りをみるどころではない。言われるままに抜き、刈り、運び、ゴミを拾って、枝落としをする。全体像は見えないまま、手元と足元に集中するだけで精一杯。
帰宅して、70Lゴミ袋いっぱい引っこ抜いた「ノハカタカラクサ」を調べる。「観賞用のものが逸出し、野生化。進入年代昭和初期。在来草本植物と競合、要注意外来生物」ふうん、露草みたいで可愛いと思ったのに外来生物だったのか。さらに環境省のサイトをみると「要注意外来生物リストは平成27年3月26日をもって発展的に解消されています」とある。何それ。「発展的に解消」とはいかにもお役所言葉。まるで意味不明で、ぱあっと目の前で霧消した感じ。私のモヤモヤはさらに深まる。でも作業は純粋に楽しかった。3日後ぐらいに筋肉痛になるだろう。それでもまた行こう。続けていくうちに何か見えてくるような気もする。
*この添付のイラストは小学生のころ絵を描くのが大好きな次男がパソコンのペイントツールで描いたものです。
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
いのちのことば社
スーザン・ハント
「緑のまきば」
「聖霊とその働き」