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解説 ウエストミンスター信仰告白 (49)
岡田 稔著
(元神戸改革派神学校校長)
第23章 国家的為政者について・・1・・
1 全世界の至上の主また王である神は、ご自身の栄光と公共の益のため、神の支配のもと、民の上にあるように、国家的為政者を任命された。そしてこの目的のために、剣の権能をもって彼らを武装させて、善を行なう者を擁護奨励し、また悪を行なう者に罰を与えさせておられる(1)。
1 ロマ13:1-4、Ⅰペテロ2:13,14
一 神は至上の主権者であられる。従って一切の支配権の唯一の保持者は神のみである。人間社会の統治権を霊的と現世的とに二分するなら、前者は教会に属し、後者は国家または公共団体に属する。両者ともに神から賦与されているものあり、お互いに補いあいうものであるから、自己の両域を越えないように、また、わたしたちもキリスト者であると同時に、国家社会の一員であるから、それぞれの事柄に関しては、どちらの支配権にも真面目に、忠実にこれを尊び認めて服従すべきである。
なお、岩波文庫の中に、マルチン・ルター著「現世の主権について」の邦訳が出版されているが有益な本である。
2 キリスト者が、為政者の職務に召されるとき、それを受け入れ果たすことは、合法的であり(1)、その職務を遂行するにあたって、各国の健全な法律に従って、彼らは特に敬けんと正義と平和を維持すべきであるので(2)、この目的のために、新約のもとにある今でも、正しい、またやむをえない場合には、合法的に戦争を行なうこともありうる(3)。
1 箴言8:15,16、ロマ13:1,2,4
2 詩2:10-12、Ⅰテモテ2:2、詩82:3,4、サムエル下23:3、Ⅰペテロ2:13
3 ルカ3:14、ロマ13:4、マタイ8:9,10、行伝10:1,2、黙示17:14,16
二 イエスは「あなたがたの中で・・・、指導する人は仕える者のようになるべきである」(ルカ22:24)と言われているけれども、それはキリスト者が社会的に主要な地位に立つことを否定してはいない。国家の主権を握る者が、この主権に当然付随している帯力(ひいては武力)を自分の権力内に持つことは当然であり、従って、この刀を抜く必要のあるときは、それを振るう機能も握っているのである。
合法的とは、前章の場合にも用いられた用語であるが、神の言葉に矛盾しない、あるいは聖書の啓示に適うと言った意味とみてよい。ゲッセマネに向かうとき、イエスは「つるぎのない者は、自分の上着を売って、それを買うがよい」(ルカ22:36)と命じつつ、耳を切った者に向かっては「あなたの剣をもとの所におさめなさい。剣をとる者はみな、剣で滅びる」(マタイ26:52)と言われた。この二つのことに矛盾はないか、と問う人もあるが、わたしは前者の場合、なかなか事に危急性にめざめない弟子への警告と見るべきではないかと思う。
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=この「解説 ウエストミンスター信仰告白」」は「つのぶえ社」の出版(第一刷1976年)で、出版社の許可を得て掲載しています。この本の購入を希望される方は、「つのぶえ社」までご注文ください=
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