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2023年7月号  №193 号 通巻877号
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ビルマ  戦犯者の獄中記  (70)  遠山良作 著

11月22日    

―小田大尉、塩田中尉の死刑執行される前夜―・・2・・

―小田大尉、塩田中尉の死刑執行される前の夜―2時10分頃、塩田中尉から「皆さんの熱意ある言葉を聞いて安心して逝くことが出来ます。日本再建は必ず出来ると信じます。かつて独逸が第一次大戦に敗れた1年後、少年に将来何になるかと尋ねたところ、99%の者が「ソ連をたたくことだ」と答えたそうです。これがゲルマン民族の気概です。ところがそれ以上にまさる我々大和民族は、独逸が立ち直った以上に早く復興すると信じます。そして大和民族が再度この悲劇を繰り返さぬようにお願いします」との言葉がある。続いて2時30分頃から小田大尉が、11年間にわたる野戦勤務の想い出を語られる。

「昭和12年の春、2・26事件半ばにして満州に派遣され、14年の春、南支那に移り、16年春、福州作戦に参加、同年10月海南島に赴任し、サイゴン、泰国に平和進駐、そしてベッグ山系を越えて17年2月11日、紀元節の日にマンダレーに入り、シッタン作戦後、3月8日ラングーンを攻略(この間弓部隊に配属)、4月29日マンダレー作戦に参加し、この間門出中尉(現在少佐)と共に元ビルマ国家代表バーモ博士を救出した。その後雲南作戦に参加、6月龍陵分遺隊長、181月本部附となり、モービン県地区粛正討伐隊長として出勤した。この時の事件が今度の裁判で起訴され、今日の結果になったのです。その後、191月西南憲兵隊本部附となり、55師団連絡将校を1カ月やった後、特殊工作隊を編成し、それを指揮してバセイン、アラカン地区で勤務、20年5月転進作戦でベグー山系に入り、特殊工作神風隊と改名した。マンダレー街道を突破する友軍のために情報収集及び地形敵状偵察等の任に当たる。

8月26日、初めて終戦になったことを知り、直ちにモールメンに赴き、10月11日、武装解除され、2、3日後、久米司令官たち5名と共に飛行機でこの刑務所に移送された。私が神風隊長の理由で独房に入れられたが、そのことは何もなかったので、翌年(21年)11月独房から出された。この時はほっとした。そして生きて内地に帰れると思い本当に嬉しかった。―中略―

自分の人生観は(朝に紅顔ありて、夕に白骨となる人の一生)の要旨を語られる。―中略―

2時50分頃、清水中尉は「塩田さん、腹の具合は如何ですか」

塩田「もう大丈夫です。明朝は火葬で完全消毒して行くんだから、「アミーバ」でも大腸炎でも大丈夫ですよ。それに英軍の親切ですよ。あの世に行くのに予防接種までしてこれるんですからねアハッハ!」

今度は葵生川准将が「塩田さん一度聞こうと思ってわすれていたけれど・・・」「何かね」「一寸言いにくいね。フフフ、言っちゃおうか。貴方の妹さんのことだよ」

塩田「ああ妹かね。あれはまだ小さいから使いものにならんよハハハ」「小さいから可愛いいでしょう」と、葵生川さんの声

―中略―

4時10分頃、小田「今日、死刑の言い渡しを受けて帰る時、SK(印度人)に会って、永い間有難うと言ったら、お国のためだから安心して行って下さいと逆に激励されたよ。井出、後からよろしく言っていたと伝えてくれよ」

小田「井出、恩を忘れるな。三恩をな。君の恩、親の恩、師の恩を。師は小学校の時の先生が一番良い。人間としての基礎を作ってくれたのだから。そのことを大野当房、塩田たちにも伝えておいてくれ。そして屋には最後まで希望(減軽のこと)を持って頑張れと言ってくれ」

このとき5時を知らせる時報が鳴る。

5時8分頃、小田大尉から「じゃ「君が代」を始めてください」

塩田「お願いします」

森元「承知しました」と答える。森元准将の音頭により全員で『君が代』『海行かば』を各々2回合唱する。

小田「今度は二人だけで『海行かば』を歌います」と言って二人合唱さる。

小田「平素の気持ちと変わりありません。ただ神様と阿弥陀如来が迎えに来ているような気がします。8棟や東独房の方々にも長い間いろいろとご迷惑をかけました。皆さんのご厚情と真心を抱いて笑っていきました、と伝えてください。どうも皆様ありがとうございました」

塩田「長い間いろいろ無理なお願いも聞いていただき、どうも有難うございました。二人は笑っていきました、と皆さんにも伝えてください」

5時45分頃、小田「決して悲しまないでください。笑って送ってください。万歳は縛られる前にします。井出、いよいよお別れだな。君からもらった水を末期の水に飲んで行くよ」

このとき所長が来る。両官は所長と何か話しておられるが声が低くて聞き取れない。暫し沈黙、房内の者はみな息をひそめ、時の経過を待つ・・・。

5時56分頃、両官は声高く「万歳」を三唱、一同もこれにあわせて「万歳」を唱える。

両官「さようなら」の最後の言葉を残して房を出る。各人直立身を固くして息をのみ、去り行く両官の足音のみを聞く。

両官は房を出られるに際して、次の辞世を朗詠される。

祈りつつ 死に行く吾は 霊となり 永遠に護らん 皇御国を

6時、早朝の静寂を破って冷酷な踏板の落ちる音が響く。全員万歳を以てこれに和す。 

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書籍紹介
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エネルギー技術の
 社会意思決定

日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
 定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授

本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
 共著者・編者
鈴木達治郎
電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本

      d6b7b262.jpg
教会における女性のリーダーシップ
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント 
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
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「あとがき」より
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「著者のことば」より
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定価 1500円
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 「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
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おすすめ本
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われらの教会と伝道
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鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本

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讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
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