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2023年7月号  №193 号 通巻877号
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さんびか物語 ・・・35・・・

    (広く愛唱されている50曲)・・・34・・・

           ポーリン・マカルピン著

          (米国南長老教会婦人宣教師) 

讃美歌344番

 とらえたまえ わが身を

<神様のみ言葉>

「私は、すべてを得たものではなく、すでに完全にされているのでもありません。ただ捕えようとして、追及しているのです。そして、それを得るようにとキリスト・イエスが私を捕えてくださったのです」。

~ピリピ人への手紙3章12節~

讃美歌344番は、多くの古い年代の讃美歌の中にあって、比較的新しいものであります。

讃美歌344番の作詞者ウイリアム・H・フォークスは、1877年6月26日、米国北長老教会の牧師の子供としてミシガン州で生まれました。その後、カンサス・ウエスレイアン大学、マコーミック神学校などを卒業後、1901年、フォークス家の5代目の牧師として、長老教会の牧師となりました。

彼は、西はオレゴン州から、東はニューヨークシティまで、多くの教会を牧会してのち、米国北長老教会の有力な指導者として、教会運営に活躍していた人物でありました。彼の発言は、アメリカの教会のみならず、広く諸外国にも影響を与えていました。1937年の教会の大会議長に就任した後、1941年牧会から引退して、避暑地ストニー・ブルック、ロング・アイランドの別荘で余生をおくっていたようです。

彼は、学生時代から詩を書き、多くの本を出版しています。その中の一巻は、アメリカ全土に放送されたHomespun Along Friendly Roadsは、彼の広く豊かな才能を物語っているものと思います。

この讃美歌には、面白いお話があります。1918年のある日、Dr・フォークスが汽車を待ってストニー・ブルックの駅にいましたが、その時、偶然、友人Dr・ローファーに会いました。その時、ローファーは作曲したばかりの、この讃美歌のメロディーをハミングでフォークスに紹介しました。ローファーは、このメロディーに敬虔な雰囲気をもたらす詩を書くことを熱望しました。

フォークスは、汽車に乗ってから、メロディーをハミングしながら、この歌詞の1~3節を1枚の封筒に書きとめました。それから数日後にストニー・ブルックの会議の時に初めて歌われました。最後の4節は、ある修養会の時に作って、1945年にこの讃美歌は完成したのであります。

讃美歌344番の作曲者キャルヴィン・W・ローファ(1874~1938)も北長老教会の有力な牧師でした。

フランクリン・アンド・マーシャル・カレッジとニューヨークのユニオン神学校を卒業して後、15年間牧会の任務に当たりました。しかし、彼の本来の才能は教会音楽とキリスト教教育に生かされています。彼は1914年から、長老教会の教育局に入り音楽関係の出版物の主幹として、また、教会学校の委員会会長として活躍いたしました。彼は、教会音楽についての、多くの本を発表し、長老教会の讃美歌の編集にも指導的は役割をはたしています。

讃美歌344番の最初の曲名はSTONY BROOKと言われていました。その後、ローファがHALLと変えました。それは、友人である有事であるDr・ウイリアム・R・ホルに敬意を表すためであった言われています。

<344>

1 とらえたまえ、わが身を、

    主よ、みこころしめして、

    日々まことをおしえて、

    はなちままえ、罪より。

  2 とらえたまえ、わが身を、

    われに宿りたまわば、

    とわの愛をつたえて、

    地にみくにを来たらせん。

  3 とらえたまえ、わが身を、

    主のみ手にぞおさめて、

    またき道をひらきて、

    ゆかせたまえ、みもとに。

  4 とらえたまえ、わが身を、

    みたしたまえ、みたまを、

    わがすべてをささげて、

    こたえまつらん、みむねに。

この讃美歌の歌詞をお読みになってお分かりのように1節~4節の一行目は‟とらえたまえ、わが身を”という言葉が繰り返されていることであります。この言葉によって、私たちに教える中心点は、「全てを主にゆだねまつる、まったき服従」ということであります。

1節では、“主よ、みこころを示したまえ”と歌っています。神様のみこころを知るためには、全き服従が求められます。この服従を考える時、私たちは、主イエス・キリストのゲッセマネの園での祈りが思い浮かんでまいります。

「わが父よ、できますならばこの杯をわたしから過ぎ去らせてください。しかし、わたしの願うようにはなく、あなたのみこころのようになさってください」(マタイ26:39)と祈っています。

私たちも、「あなたのみこころのようになさってください」という全き服従の信仰をもって祈るべきであります。では、そのためにどのようにすべきでしょうか。それは、「まことの神様より学ぶこと」であります。日々、み言葉に教え示され、自分を捕えてはなさない罪の思いをまことの教えを学ぶことによって、捨て去ることであります。

そのことにこそ、「まことの源であるみ言葉」に求めなければなりません。また、その源とは、「わたしが道であり、真理であり、いのちです」(ヨハネ14:6)とお語りになられた、主イエス・キリストご自身でもあります。

主イエス・キリストは、私たちを罪より解き放ってくださる、唯一の救い主であられます。イエス様の弟子であるペテロがいっていますように、イエス様は「自分から十字架の上で、私たちの罪をその身に負われました。それは、私たちが罪を離れ、義のために生きるためです。キリストの打ち傷のゆえに、あなたがたは、いやされたのです」(Ⅰペテロ2:24)とのみ言葉の通りであります。

2節では、主イエス・キリストが、私たちを捕えていてくださるなら、み霊が私たちに宿ってくださり、その力によって導き、永遠の愛の福音を伝え、地にみ国を来たらせることを歌っています。私たちは「主の祈り」を口にいたします。そこでは、「み国を来たらせたまえ」と祈ります。しかし、本当にキリストに捕えられ、つらなっていない限り、この祈りは、空しいものになってしまいます。

イエス様はこの事実を、語っています。「わたしはまことのぶどうの木であり、わたしの父は農夫です。わたしの枝で実を結ばないものはみな、父がそれを取り除き・・・。わたしにとどまりなさい。・・・わたしにとどまっていなければ、実を結ぶことはできません。・・・あなたがわたしにとどまり、わたしのことばが、あなたがたにとどまるなら・・・、求めなさい。そうすれば、あなたがたのためにそれがかなえられます」(ヨハネ15:1~10)

3節では、‟人生の道について”歌っています。主イエスの愛のみ力の中にあって歩むその人には、まったき道が開かれているという感謝の歌声であります。それは、主イエス・キリストが、私たちを父なる神のみもとへと行かせて下さるからであります。主イエス・キリストは、私たちが本当に行き着かなければならない「目標」をご存知であるばかりではなく、案内者でもあられます。

目標のない、無意味な人生の道を捨てて、神様への道を歩み、声高らかに讃美の歌声を主のみ前に捧げましょう。

4節では、‟全てを捧げ、み旨にこたえまつること”を歌っています。全身全霊を捧げること、この世の歩みの一切を神様に捧げる献身の告白は、何と素晴らしいことでしょう。これこそ、クリスチャンの最もふさわしい告白であり、人生であります。しかしながら、神様に捕えられていない人には、まっかく不可能であるばかりではなく、そのような思いすら起こって来ません。自分は完全だと思う人、神様を信じていなくても人生を歩めると思っている人、み霊の恵みを頂いていない人には、神様に一切を捧げることなど絶対にできません。

神様を信じない人は、まず自分の不完全さ、罪深さ、神に逆らっていること、自分の力では、一歩も先へは進めないことを、心から認めなければなりません。このように真実の自分を認めて、神様に立ち帰るために、心から悔い改めて、一切を主イエス・キリストに委ねることであります。

「キリスト・イエスにおいて上に召してくださる神の栄冠を得るために、目標を目ざして一心に走っているのです」という、ピリピ人への手紙3章14節のみ言葉をあなたご自身の人生の歩みの目標にしてください。     
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ポーリン・マカルピン著
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