[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
世田谷通信(161)
猫草
里山保全のボランティア活動をはじめて半年になる。最初は何の意味があるのかさっぱりわからなかった作業が、少しずつつながり、意味を持ってきた。落葉溜めの腐葉土がいっぱいになって壊れてきた→解体して中の腐葉土を竹林に運んで撒く→空いた場所に新しい落葉溜めを作る→そのための竹を伐り出す→枝を払う→長いので半分に切る→四つ割りにする→丸太の杭を打って四隅の大きさを決める→割った竹を下から四面に釘で打ち付ける→落葉を入れて完成、こんな流れである。
とはいえ、半日でこの作業をするのは大変なことである。なにせベテラン勢の平均年齢は70代後半。指示は出しても、重労働は厳しい。と言うわけで学生さんのお手伝いが重宝する。この日も3人来てくれた。普段から農業大学で学んでいるので作業着に地下足袋姿。土や竹みたいな重いものもどんどん運んでくれる。若い人がその力を遺憾なく発揮してくれている。頼もしい限りだ。
5m四方ほどの1基の落葉溜めで1年半ほど経過した落葉はミルフィーユのような層状になって栄養たっぷりの腐葉土になっている。ふかふかと活きている土である。この土でガーデニングをしたらさぞかし野菜も花もよく育つだろうと思わされる。落葉を分解したのはカブトムシの幼虫やミミズ、ヤスデ、菌類など。丸々太った幼虫が75匹いたので、この子たちはそーっと別の落葉溜めに移動した。
先日の報道番組で、放射能除去のために大量の表土を剥いでいる映像を見た。除染が必要とは言え、そこに新しく植物が根付き、落葉や枯れ葉が分解されて豊かな土壌が戻るまでの年月を考えると胸が痛くなる。かく言う世田谷の里山でさえ、放射線が心配だからと地域の方々への腐葉土配布は中止になったそうだ。
技術の進歩が常に明暗を抱える中で、今日も明日もこれからも微生物は土壌を豊かにし続けている。その静かで確実な活動が地球を支えている。
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
いのちのことば社
スーザン・ハント
「緑のまきば」
「聖霊とその働き」