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2023年7月号  №193 号 通巻877号
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ビルマ 戦犯者の獄中記 (72) 遠山良作著

―戦犯裁判終わる―・・・2・・・

11月26日 

 この刑務所にはわれわれ刑を受けた者の外に、戦犯容疑者として取調べの中の者、外に証人として残された者も40数名、弁護団、残務処理のために残っている者、日本の逃亡兵等約80名全員は今日出所した。

 戦争、敗戦、刑務所との生活から解放されての出所である。彼らの喜びはいかまかりか。われわれは淋しさを隠して拍手で見送った。少人数ではあったが、最後までわれわれを励まし、支えてくれたことに心から感謝する。これからはどんなことがあろうとも、自分たちの力で幾年続くか分からない異国の牢獄で生きてゆかねばならない。

11月30日

 死刑囚を除いた者、全員雑房に移された。雑房とは木造二階建ての建物である。今までの戦犯容疑者が収容されていたところで、階下に4部屋、二階に4部屋仕切られ、1部屋に約30名位収容できる広さである。私たちは全員2階に入った。床は板張りであるから、コンクリートの独房と違う。また友と枕を並べて語り合うことが出来るからありがたい。それに空がとても広い、四方は塀に囲まれて外部を見ることは出来ないけれども、長い獄房生活者にとっては広い世界を見るようである。

 所内の景色をあきることなくいつまでも、いつまでも眺める。

 誰の顔を見てもホッとしたような喜びの笑顔である。死刑の宣告を受けて独房にいる戦友には本当に申し訳けない思いがする。

 白き雲 囲むがごとく 悠々と 鳶は舞いおる 獄の真昼は

 日もすがら 扉に寄りて 破れたる ただ一枚の 上衣つくろう

 そよ風の 流れゆくそき 黄色なる 木々の葉のひかり ああビルマの秋

 独房(ひとや)より 雑房移りて とまどえり わが目に映る 視野の広さに

12月16日

―絞首刑を執行された3名―

 戦犯裁判が終了したから、9名の死刑囚にも減刑になるのではないかとの希望もむなしく、葵生川(けぶかわ)、岩木、鼻野の3名の死刑が執行された。一人の英兵が10名が使役に出るように指示してきた。私たち10名は絞首台のある地に案内された。そこで太いロープで首を巻かれたままの3名を見た。執行されたばかりの遺体はまだ温かいが顔はむくみ、誰であるかの判別すら困難であるほど変わり果てた姿に止めどなく流れる涙でどうしょうもない。

 ロープを解いて用意された棺に死体をおさめて、トラックに乗せてラングーン郊外になる日本人墓地に運んだ。用意されて来た薪を積み重ね、その上に死体を乗せて、荼毘(だび)にする。いやな臭いの黒煙はあたり一面に立ち上こめて、彼らの魂があたかも天に昇って行くようである。

 英兵の指揮するインド兵10名が要所で銃を構えて監視している。彼らは戦友の遺骨を拾うことを許さない。しかし我が子の帰りを待っている御遺族のことを思うとなんとか遺骨なりとも御届けしなければならない。薪をくべるふりをしては監視兵の隙を見て少しずつ拾って持ち帰ることが出来た。

 「ああむごい」と首に巻かれし ロ-プ解く 刑死の君は 未だ温し

 体温の 残る刑死の 戦友を 抱けばむやみ 涙流れて

 識別の かなわぬまでの 貌(かお)となり 絞首刑受けし 友の死骸(なきがら)

 刑死せし 君の亡骸 荼毘にふす 黒き煙の 立ち込む中を

 死刑囚 戦友の遺骨(ほね)を盗むごと 広いてひそかに ポケットに蔵う

 処刑されし友 遺骨を葬りて 古き板切れ しるしに立てぬ

   

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書籍紹介
    8858e3b6.jpg
エネルギー技術の
 社会意思決定

日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
 定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授

本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
 共著者・編者
鈴木達治郎
電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本

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教会における女性のリーダーシップ
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント 
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
217ff6fb.jpg 








「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
定価 2000円 

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「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
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「十戒と主の祈り」
鈴木英昭著
 「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
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われらの教会と伝道
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本

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さんびか物語
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円

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