忍者ブログ
2023年7月号  №193 号 通巻877号
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

 

さんびか物語・・・41・・・ 

    (広く愛唱されている50曲)・・・40・・・

           ポーリン・マカルピン著

          (米国南長老教会婦人宣教師) 

讃美403番

 かみによりて

<神様のみ言葉>

「そして人々に言われた。『どんな貪欲にも注意して、よく警戒しなさい。なぜなら、いくら豊かな人でも、その人のいのちは財産にあるのではないからです』」。 

~ルカの福音書12章15節~

 

神様にあるキリスト者の交わりを、非常に美しく歌っている讃美歌の一つは、この403番“かみによりて”と言えます。

この讃美歌の原作者はジョン・フォーセット(1740~1817)ですが、この讃美歌は自分がある素晴らしい経験をしたことを記念するために、また、長く覚えておくために書いたものであります。

その出来事とは、次のことであります。

時は1772年です。場所はイギリスのヨークシャーで、ジョン・フォーセットと妻のメアリーは、7年の間、ウェインズゲートの村にあったヘブデン・ブリッジのバプテスト教会で非常に貧しい、しかも少数の会員でしたが献身的な牧会を続けていました。

ところが、彼はロンドンにある有名な教会に招かれ、そこで説教をした結果、是非、その大きな教会へ来てもらいたいと言うと招聘がありました。4人の子供を育てなければならないフォーセット夫妻は、ロンドンに移ることを神様のみ旨と信じて、ジョンは別れの説教を済ませました。その2、3日後、彼らが世帯道具を荷台に積んでいるところに、教会員のみなさんがやって来て、涙を流しながら愛する牧師家族を見送ろうとしました。メアリーはこの教会員の愛に“わたしはこの教会の方々と別れるのは、とてもできない”と言ったところ、ジョンも“わたしも同感です”と言って再び世帯道具を下ろしてしまいました。そうして、この夫妻は54年の長い間、経済的には貧しいものでしたが霊的には非常に恵まれた牧会の歩みをいたしました。その後、フォーセットはイギリス中でも知られた牧師、また作詞家、詩人として大きな影響を及ぼしました。

フォーセットはウェインズゲートに残ることを決めたあくる日曜日には、冒頭の聖句の「人のいのちは財産にあるのではない」というところをテキストにして説教しました。そうして、彼の習慣に従って説教後、前の晩に書いたこの讃美歌Blest be the tie that binds(われらの心を結ぶ絆はどんなに尊いことでしょう)を会員に教えて、ともに初めて歌ったのであります。

フォーセットはこのように毎週説教に伴う新しい讃美歌を書いたのであります。本当に素晴らしい才能と牧者としての熱心さでありましょう。

ジョン・フォーセットは幼い時から非常に苦労しなければならない状態に置かれていました。彼は11歳の時に父を亡くし、13歳で故郷のヨークシャーにある仕立て屋の見習いに出されまして、朝は6時から夜の8時まで働かなければなりませんでした。

その時期に有名な伝道者ジョージ・ホイットフィルドの説教によって信仰に導かれて、牧師になる決心をしました。独学で彼は、その後ブラットフィルドのバプテスト教会の会員となり、その教会の牧師の勧めによって、1763年に周りのバプテスト教会で説教するようになりました。そして、1765年にウェインズゲート教会の牧師に任命されました。その教会では1816年まで牧会を続けましたが、2月に脳卒中で倒れ、翌年の7月25日に召されました。

彼は多くの宗教書を発表しましたが、他に1782年には、166曲も収めた讃美歌集を出版しています。この讃美歌集にこのBlest be the tie that bindsが初めて発表されました。1954年版の讃美歌には彼の作品として“みかみよ、めぐみを”(64番)があります。

讃美歌403番の曲DENNISですが、これは1845年にロウエル・メイスンによって編曲されたものです。記録がありませんから、フォーセットの時代に歌われていた曲が、どのようなものであったか分かりませんが、1832年にロウエル・メイスンが、BOLYSTONという曲をフォーセットの作詞に合わせてThe Choirという本に発表しました。また、さらに13年後にメイスンがDENNISという編曲を作りました。

原作者はハンス・ヨーハン・G・ネーゲリというスイス人でした。ネーゲリはチューリッヒで楽譜出版業を営みながら音楽教師をし作曲もする精力家でした。

ロウエル・メイスンは、ヨーロッパにいた間、DENNISの原作の写本をネーゲリから買い、アメリカに戻ってから、これをフイリップ・ダッドリッチの歌“かみにたよりて”(84番)のために編曲したものです(1954年版の84番の曲ではありません)。

そうして、後になってメイスンがこの編曲DENNISBlest be the tie that bindsの曲として発表しました。アメリカの讃美歌集では、両方の曲が用いられていますが、どちらかと申しますとDENNISの方が広く使われているようであります。

<403>

  1 かみによりて いつくしめる

    こころの交わり いともたのし。

この讃美歌は原作では6節からなっているのですが、残念なことに多くのアメリカの讃美歌集では、これを、3節か4節に短くして用い、最後の2節を省略しています。日本語訳の場合は5節ですが、省略されているのは原作の5節であります。

原作の1節と日本語訳を比べますと少し違いがあります。それは「キリストの愛によって、私たちの心が結ばれるその絆は、まことに祝福されています。同じ信仰を持っている人々の交わりは、天にある交わりのようなものであります」と原作では歌われています。ですから、日本語訳よりも具体的で意味がはっきりしているように思います。

  2 ちちのまえに せつに祈らん

    望みも恐れも ともにおなじ。

2節で歌われていますのは、父なる神様のみ前に心から祈る私たちは、「あなたがたがお願いする先に、あなたがたに必要なものを知っておられる、父なる神」(マタイ6:8)に悩みも、恐れも、慰めも、重荷についても、そうして、救いも希望もすべての源であられる神様に切に祈り求めるようにすすめています。それは、神様にこそ本当に解決と望みがあるからにほかなりません。

  3 ともにしのぶ うきなやみも

    ゆたけき恵みに やがて消えなん。

3節では、ガラテヤ人への手紙6章2節とローマ人への手紙12章15~16節のみ言葉が背景にあると思います。そこには「互いの重荷を負い合い、そのようにしてキリストの律法を全うしなさい」(ガラテヤ6:2)、また「喜ぶ者といっしょに喜び、泣く者といっしょに泣きなさい。互いに一つ心になりなさい」(ローマ12:15)とあります。

お互いの悩みを分かち合い、重荷を負い合うのはクリスチャンの義務でもあり、光栄ある責任でもあります。喜ぶ者とともに喜ぶのは別に難しいことでもないですが、泣く者とともにその重荷を負うことは、なかなか出来ることではありません。しかし、クリスチャンは神様の私たちへの愛を知っているが故に、神様を愛する者でありますから、兄弟を愛し重荷を負うための愛の心を神様に求める者であります。そして、その愛の心を得ている者ですから、この大きな役目を果たしてまいりましょう。

原作にありますように、キリストにある友のために、同情の涙を流すことの出来る者なのです。どうぞヨハネの手紙第一、3章以下を是非お読みください。

 4 わかるるとき かなしけれど

   ふたたび相見る さちやいかに。

4節では、別れる時は悲しいけれども、主イエス・キリストにつらなっているなら、主にあって、心と思いは今も結ばれていて、別れは場所的なことに過ぎないことである。また再び相見るその日を喜びと希望をもって待ち望むことが出来る、と歌っています。

日本語訳にはない原作の5節では、作者は次のように歌っています。

「愛する友人たちを、再び相みることの素晴らしい希望が、私たちに勇気を与え、その日を期待して待ち望みながら、私たちは人生の旅を続けるのであります」と。なんと素晴らしい信仰でしょう。

 5 つみとうれい なきみくにの

   つきせぬ睦びを よろこび待たん。

これは、原作の6節にあたりますが、ここでは、罪、うれい、悩み、苦しみのないみ国について歌っています。

日本語訳では“み国のつきせぬ睦び”を待ち望んでいるというようになっていますが、英文の方では“完全な愛と完全な友情が永遠に続くみ国である”となっていますが、同じような意味を表現していると思います。

ヨハネの黙示録21章3~4節には「見よ。神の幕屋が人とともにある。神は彼らとともに住み、彼らはその民となる。また、神ご自身が彼らとともにおられて、彼らの目の涙をすっかりぬぐい取ってくださる。もはや死のなく、悲しみ、叫び、苦しみもない。なぜなら、以前のものが、もはや過ぎ去ったからである」と記されています。

この神様にある交わりと喜びを、心から待ち望む歩みでありたいものです。同時に、主にある兄弟姉妹の信仰の交わりをも大切に育ててまいりましょう。

 

 

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
ブログ内検索
カウンター
★ごあんない★
毎月第一日更新
お便り・ご感想はこちらへ
お便り・ご感想くださる方は下記のメールフォームか住所へお願いいたします。お便りは「つのぶえジャーナル」の管理人のみ閲覧になっています。*印は必須です。入力ください。
〒465-0065 名古屋市名東区梅森坂4-101-22-207
緑を大切に!
お気持ち一つで!
守ろう自然、育てよう支援の輪を!
書籍紹介
    8858e3b6.jpg
エネルギー技術の
 社会意思決定

日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
 定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授

本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
 共著者・編者
鈴木達治郎
電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本

      d6b7b262.jpg
教会における女性のリーダーシップ
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント 
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
217ff6fb.jpg 








「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
定価 2000円 

b997b4d0.jpg
 









「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
 a0528a6b.jpg









「十戒と主の祈り」
鈴木英昭著
 「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
4008bd9e.jpg
われらの教会と伝道
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本

0eb70a0b.jpg








さんびか物語
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円

Copyright © [   つのぶえジャーナル ] All rights reserved.
Special Template : シンプルなブログテンプレートなら - Design up blog
Special Thanks : 忍者ブログ
Commercial message : [PR]