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2023年7月号  №193 号 通巻877号
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ビルマ 戦犯者の獄中記(78) 遠山良作著

 ―信親友―

 巣鴨にはキリスト教徒を中心に、信友会なる群れがあった。その大半は獄中でキリスト教を知り入信した人たちであった。礼拝は毎週土曜日の午前10から、アメリカの従軍牧師ダットン師の説教を、中田善秋(カナダ生まれの神学校出身の戦犯者)が通訳をして礼拝が守られていた。出席者は4、50名位であった。日曜日の午前は新約聖書研究会、午後は旧約聖書の学びがあり、私はすべての集会に出席した。この年の12月23日、クリスマス礼拝にて、中田先生のすすめもあり、ダットン牧師によって受洗することが出来た。

 戦争→敗戦→戦犯→牢獄の10数年間、生きてきた苦しみ、悲しみの涙の中に真実を見出し、奇しき神のみ業により、その恵みを知り得た喜びの感謝の祈りを捧げる。

 もし私に戦犯者として試練がなかったなら、神のみ恵みも知らずに人生を真剣に生きることすら考えることなく、自堕落な生活を送り、この生涯を終えることだと思う。

 巣鴨での生活の一端を、一人のキリスト者に、次の手紙を書いて送った。

 坂出市 渡辺美津枝姉へ

 「中田先生より貴姉のことはいろいろと賜わっております。―中略―講和条約も間近にせまり、日本も独立国としてやがて一人歩きすることになるでしょう。当所(巣鴨拘置所)も4月1日から日本の管理下に移され、手紙も週に2回出すことが出来るようになりました。

 教会の礼拝も米軍の従軍牧師に代わって、関屋正彦先生と稲葉好延先生が交替で説教してくださることなりました。今週の説教は「9つの福音」(マタイ伝5章)でありました。牢獄の生活と聞けば誰でも惨めな生活を想像されると思われますが、私たちキリスト者は主イエス・キリストの豊かな恵みにより喜びと感謝の日々を送っております。―中略―。

 私は戦犯者としてビルマの獄中において死との対決をせまられ、あるときは病魔に侵され、死線をさまよいつつ、目に見えない神様に救いを求めつつ、叫び続けたとき、一冊の聖書が与えられました。懸命に読みましたが,聖書に書いてある奇跡はどうしても信ずることが出来ませんでした。この聖書から奇跡だけを抜いてあったらこんな素晴らしい本はないとも思いました。時には片隅でほこりにまみれていたこともありましたが読む本がない獄の生活であります。幾回も繰り返して読んでいる間にすべてを創造された全能の神のみ業であるならば、すべてをなし給う神であることを知り、主なる神を信じるようになりました。

 それからは、傲慢なる過去の生活、罪の自覚にさいなまれ、悔い改めの涙で幾夜も枕を濡らしたのであります。悲しみの涙の中にこそ真実があり、神の存在を知り得たのであります。このような過去を持つ一人として世界の平和を願わずにはいられません。去る復活節の夜、信友会に対する研究会の第一回目の集いを行いました。参加者はわずか4人ではありましたが、真実の平和は神によってのみ果たされることだと思いました。

 今の日本の現状はどうでしょうか。再軍備こそ国を守る唯一の手段であるとの声も聞こえてきます。米国もソ連も互いに軍備を拡張し、軍備こそ平和への道なりと美しい言葉によって武装への道を歩みつつあります。朝鮮動乱は今や日本をもその渦中に巻き込まんとする情勢であります。敗戦の苦悩を身をもって体験し、戦争憎悪の情はかかるわれわれにこそ強烈であります。

 いかなる主義も思想も永久に平和をもたらすことの出来ないことは過去の歴史が、はっきりと示しております。人類の歴史は闘争の歴史でもありました。

 神様に救われた一人として、つねに主の十字架を仰ぎつつ、また神の御意志はなんであるかを問い続けて歩みたいと願うものであります。このことを覚えお祈りの中に加えてくださるなら幸いと思います。―中略―。」

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書籍紹介
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エネルギー技術の
 社会意思決定

日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
 定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授

本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
 共著者・編者
鈴木達治郎
電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本

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教会における女性のリーダーシップ
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント 
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
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「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
定価 2000円 

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「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
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「十戒と主の祈り」
鈴木英昭著
 「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
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われらの教会と伝道
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本

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さんびか物語
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円

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