2023年7月号
№193
号
通巻877号
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「ローマ人への手紙」研究 (44)
第34課 異邦人の召命とユダヤ人の拒否
9章1~11章36節(続)
A 神がユダヤ人を退け、異邦人を召されることは神の約束と矛盾するものではない。
9章1~24節(続)
「ユダヤ人の兄弟たちに対するパウロの愛と関心の表明」
9章1~5節 (続)
次に、4、5節において、パウロはイスラエルの子らが受けている特権を要約して述べています。彼は8つのことを挙げています。① 子たる身分を授けられていること ② 栄光 ③ もろもろの契約 ④ 律法を与えられていること ⑤ 礼拝 ⑥ 数々の約束 ⑦父祖たち ⑧ キリストの先祖であること、の8つです。
① 「子たる身分をさずけられていること」。ここで言われていることは、ローマ書8章で言われています「子たる身分を授けられること」とは決して同一の意味ではありえません。何故ならば、8章ではそれはキリスト者の救いの経験の一部を指しているのに対して、9章では、それは外的な特権、身分を指しているからです。パウロはここでは、キリスト者の救いの経験を語っているのではなく、肉のイスラエルについて述べているのです。
イスラエルの子らは世界の民族の中から選ばれ、神から特に特権と祝福を受けてきました。このことについては、出エジプト記4:22、申命記14:1、エレミヤ記31:9を参照下さい。イスラエルが外的で民族的に子たる身分を与えられることは、キリスト信者が個人的霊的に子たる身分を授けられることの象徴です。モーセよりキリストに至るまでの時期において、イスラエルの子らは特別の身分と特権とを与えられていて、民族的に神の子たちでした。しかし、確かに彼らのうちの多くは個人的には神の救いに与らない者でした。
② 「栄光」。この栄光とはパウロは何を指しているのでしょうか。多分、彼はここで幕屋や神殿の至聖所で、契約の箱の上に現れた超自然的な栄光の雲を指して言っているのでしょう。この雲は、契約の民が自らの罪を贖うために、供え物を捧げ血を注ぎかけるその場所で、民の間に神が臨在されていることを象徴的に示すものでした。(出エジプト40:34、20:43、レビ記16:2、列王記上8:11、歴代誌下5:14、ハガイ書2:7参照)イスラエル人以外のいかなる民族も、その中に生ける神が臨在されることの印をもったことはありません。それこそイスラエルの特別な特権であったのです。
③ 「もろもろの契約」。契約には唯一の恩恵の契約があるのみであって、アブラハムからキリストに至まで、イスラエルの全歴史はこの恩恵の契約に従うものです。しかしここで「もろもろの契約」と言われているのは何故でしょうか。それらが業の契約と恩恵の契約を指すものでないことは明らかです。なぜなら、業の契約はアブラハムの生まれるずっと以前に破られ、恩恵の契約にとって代わられてしまっているからです。パウロは神がアブラハム、イサク、ヤコブとイスラエルの子らと契約に入られ、そうすることによって、1つの恩恵の契約に関するいろいろの特権を彼らに確認されたその各時期を指して、「もろもろの契約」と言っているのです。
これらの契約の霊的な真の祝福(罪の赦しと永遠の救い)はイスラエルの子らの一部に与えられるのみで、全てではありませんでした。しかしなお、彼らが契約関係に置かれていたために、全体として多くの祝福と特権が与えられていたと言えるのです。
④ 「律法を授けられること」。イスラエルの子らのみが世の民の中から特に選ばれたのは、特に啓示された神の律法を所有するためでした。「火の中から語られる神の声をあなたが聞いたように、聞いてなお生きていた民がかつてあったであろうか。…あなたを訓練するために、主は天からその声を聞かせ、地上では、またその大いなる火を示された。あなたはその言葉が火の中から出るのを聞いた」(申命記4:33,36)他の諸民族は彼らの神話や伝説を所有していたし、哲学者や宗教指導者をもっていました。しかし、イスラエルは神の声を聞き、神の特別啓示を与えられ、誤りない聖書、記された神の言葉をもっていたのです。
⑤ 「神への奉仕(礼拝)」。これは明らかに全ての儀式礼拝、祭司制、供え物、幕屋、神殿に関する一切のことを意味します。他の民族は無知の中に礼拝し、黙して語らぬ偶像に頭を下げ、知られざる神々に礼拝を捧げていました。しかし、イスラエルは神より礼拝の秩序を示されており、それらはキリストによる神の贖いの計画を示すものでした。
⑥ 「数々の約束」。疑いもなくここで言われていることは、旧約のメシヤの約束、来るべき贖い主の来臨の約束、救い主の王国と栄光についての約束です。創世記3章15節に始まるメシヤ預言は,時の経過と共に次第に明らかにされて来ました。最初は「女のすえ」であったが、やがて「アブラハムの子孫」となり、更に「ユダのわかれの1つ」となり、遂に「ダビデのすえ」となりました。神は贖い主の約束がイスラエルの子孫に結び付いていることを明らかにされました。
⑦ 「父祖たちも彼らのものである」。もちろん、これは偉大なる族長であるアブラハム、イサク、ヤコブを指していますが、彼らからイスラエル民族を興されることを神はよしとされたのです。パウロの時代のユダヤ人たちは、アブラハム、イサク、ヤコブの子孫であることを大いなる名誉と祝福であると考えていました。そして事実そのとおりであったのですが、しかし、彼らの多くがしたと思われるように、アブラハムの子孫であることに、彼らの救いの基礎を求めるべきではなかったのです。
⑧ 「肉によればキリストの先祖である」。これは最も偉大なイスラエルの特権です。神は人類の堕落直後に、来るべきメシヤの来臨と究極的な勝利を約束されました。そのメシヤは肉によればイスラエル民族の中から出られるのです。これほど大きな特権がほかに見られるでしょうか。
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書籍紹介
エネルギー技術の
社会意思決定
日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授
「本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
共著者・編者
鈴木達治郎
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント
スーザン・ハント
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
鈴木英昭著
「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円