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2023年7月号  №193 号 通巻877号
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さんびか物語・・・43・・・ 

    (広く愛唱されている50曲)・・・42・・・

           ポーリン・マカルピン著

          (米国南長老教会婦人宣教師) 

讃美405番

 神ともにまして

<神様のみ言葉>

「主はご自身の羽で、あなたをおおわれる。あなたは、その翼の下に身を避ける」。

~詩篇91編4節~

 

世界中の多くの人々に愛唱されている送別の歌を考えてみましょう。それは、送別の歌であると共に、私たちの人生の歌でもあります。

讃美歌405番の作詞者ジェレマイア・E・ランキンは、1828年アメリカのニューハンプシャー州に生まれ、ミドルベリ・カレッジとアンドヴァー神学校で学び、後にこの地方各地の主だった組合教会の教職として活躍していましたが、その後、首都ワシントンの第一組合教会の牧師となり、多くの人々に福音を宣べ伝えていました。その間、詩や散文を書くと共に何巻かの讃美歌集も編集していました。

“神ともにまして”の讃美歌はランキンが第一組合教会の伝道集会のために1882年に書いたものであります。

この歌は、誰かから頼まれたとか、他の事情に促されて書いたのでもありません。ランキンにとってはGoodbyeの言葉に興味を持ち、この言葉の語源が“

God be with you”(神があなたと共にいましたもうように)であることに、深い考えを持ち、これをヒントに讃美歌を書くことを思いたって、丹念に作ったものである、と作者自身が語っています。

これが、ワシントンの教会で歌われ、後にGospel Bellsに収められて、一般に紹介されました。その後、この送別の讃美歌は広く全世界で愛唱されるようになったのであります。

405番の曲RANKINの方も、同じように広く知られ歌われています。

作曲は、ウイリアム・G・トウマ(1833~1896)で、南北戦争の時の士官でありましたが、その後、学校教師および新聞記者となりました。1882年ランキン博士が讃美歌の1節を書いたとき、その歌詞を二人の作曲者に送り作曲を依頼しました。その一人は、有名な作曲家で、いま一人が素人作曲者トウマでした。二人の作品が送られてきたとき、ランキン博士は無名の作曲家トウマの曲を採用し、更に、自分の教会の有名なオルガニストであったJ・W・ビショッフに意見を求めました。ビショッフが、その曲に少し手を加えて完成したのが、賛美歌405番であります。

トウマは、他にも幾つかの作品を残しましたが、それはほとんど顧みられず、このRANKINという曲だけが、ランキンの名歌と共に、愛唱されるようになったのです。ランキンも、“神ともにまして”の言葉と曲とが余りにもぴったりしているので、この曲のおかげで、この讃美歌は、素晴らしい人気であった、と語っています。

では、讃美歌405番の1節と、折り返しに目を向けましょう。

<405>                                                   1 かみともにまして ゆく道をまもり、

    あめの御糧もて ちからをあたえませ。

    (おりかえし)

    また会う日まで、 また会う日まで、

    かみのまもり 汝が身を離れざれ。

1節では、この讃美歌の中心の言葉をもってはじまります。“神ともにまし

てゆく道をまもり”とは、何と素晴らしい言葉でしょう。愛する友に贈る言葉でこれほどの深い心のこもった言葉があるでしょうか。“また会う日まで、神様がいつもあなたと共にいましたもうように”とも歌っています。

私たちは、なぜこの言葉に心が打たれるのでしょうか。それは、私たち一人

ひとりはみんな弱い者だからであります。人生の道を歩む時、誰一人として、一寸先を見ることなど出来ません。明日はどのように成り、何が起きるかなど少しも分かりません。このような私たちに、神様が共にいたもうならと考えます時、それは素晴らしいことであります。神様が共にいたまい、信仰を持って行くべき道を歩む時、そこには安心と希望が共にあります。それは、神様に守られているがゆえに、全てを神様に委ねまつることが出来るからであります。そればかりではありません。神様は、信じる者には豊かな心の糧をお与え下さり、力も与えられるからであります。

旧約聖書の出エジプト記16章以下に記されていますように、神様は天から

マナを降らせ、40年の間イスラエル人を養ってくださいました。このイスラエル人と同じように神様を求める人にも、その必要に応じて神様は豊かに恵みをお与えくださいます。

  2 荒野をゆくときも あらし吹く時も、

   ゆくてをしめして、 たえずみちびきませ。

2節には、私たちすべての者が、人生の旅路で経験する、悩みと苦しみなど

について、歌っています。その歩みは、荒野を行く時もあり、嵐の吹く時

あり、また、まったくの行き詰まりの時もあります。このような時にこそ私たちは、まことの救い主を尋ね求めるべきであります。暗黒と絶望の淵にある私たちに、その行く手をしめしてくださり、導いてくださるお方こそ主イエス・キリストであります。私たちばかりでなく、全人類の罪を贖うために、悩みと十字架の道を歩まれたお方こそ、主イエス・キリストでありました。またキリストは、私たちの全て悩みと苦しみを知り、それを共に背負ってくださるお方でもあります。このいつくしみ深きキリストと共に人生の旅路を歩む者は、本当に幸いな者であります。

   3 御門に入る日まで、 いつくしみひろき、

     みつばさのかげに たえずはぐくみませ。

 3節では、旧約聖書の美しい言葉をもって、神様の計り知ることの出来ない愛を歌っています。それは、初めにも記しました詩篇91編であります。“主は、ご自分の羽であなたをおおわれる。あなたは、その翼の下に身を避ける”と詩人は歌っています。

 親鳥が、その大きな翼を広げて、ひな鳥をいつくしみ、全ての害から守る様に神様はその広きみ翼をもって、神様を愛する者の上を覆われ、たえず私たちを育んでくださるのであります。

 また3節で作者は、天国のことをも歌っています。すべて者に終わりがあるように、私たちの人生にも、”限り”があります。これほど確かなことはありません。大切なことは、この旅路の終着点です。それは、私たちが永遠のみ国、天国に行き着くか否か、ということであります。これは、特に重大な問題であります。この世で永遠のみ国に導いてくださるお方が、いるでしょうか。そのような資格のある方はいるでしょうか。その答えは、“いません”です。では、救い主、導き手はいないのでしょうか。いらっしゃいます。

 神様は、私たちに主イエス・キリストをお与えくださいました。この神の独り子なるキリストが、私たちの頼るべき、導き手、救い主なるお方であります。キリストは、天の門を、私たちのために、お開きになる目的をもって、この世に下りたまい、十字架の上で罪の贖いとなられ、死なれ、甦り、再び天にお昇りになられた唯一の救い主であります。

 この救い主なるキリストのみが、あなたの天国への正しい導き手であられます。愛する友と別れる時、私たちもランキンのように“また会う日まで、神様がたえずあなたを、お守りになるように”と祈りたいものであります。あなたの友と再び天国で会える日を楽しみに、信仰生活を続けましょう。また、キリストへの信仰のない友や、肉親のために祈り、喜んでキリストを受け入れるように、あなたも励んでください。

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