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世田谷通信(170)
猫草
保全ボランティア活動をしている緑地、通称里山周辺には学校が多い。公立と私立の小、中、高がある。今年さらに保育園と特別養護老人ホームができた。同じ建物に2つの施設が併設されるスタイル。そこの保育園児も要介護のご老人達も隣接する緑地をお散歩などに活用したいという。せっかく隣に2ヘクタールもの緑地があるのだし、いいんじゃない?と思っていたら、緑地の「リスク」について教えて頂きたいと保全ボランティアにお話がきた。うーん、そんなの考えたことがない・・。犬の散歩や通勤通学、近隣の方々が好きなように使っている場所なのだ。だって駅までの近道だし、公園だもの。
でもまあ、この際だからちょっとまとめてみましょうと、毒やトゲなど危険のある動植物をざっと挙げてみると、緑地に入るのが怖くなるぐらいリストはいっぱいになってしまった。
なぜなら、ほとんどの植物はアルカロイドという毒を持っている。それは葉っぱや花、実をむやみに食べられないための自己防衛であり生き延びるための植物の知恵である。毒があるから薬にもなる。タバコやコーヒーだって多用すれば毒だが、適量なら嗜好品ではないか。要するに人間側の使い方次第ということだ。
昆虫や蛇なども、こちらから挑発しなければ、噛んだり刺されたりということはまずない。でもまあスズメバチの巣は地面の下にあるし、ムモンホソアシナガバチは一枚の葉裏に巣を作る。うっかり踏んだり、手で払いのけたりすることはあるだろう。幼児や老人といった抵抗力の低い人たちは、アレルギー反応、アナフィラキシーショックを起こすかもしれない。蜂毒のアレルギー検査ぐらいはやっておいた方が良いのかもしれない。
土にだって無数の微生物がいるし、マダニや蚊を媒介して感染する場合もある。だが自らヤブや湿地に入らなければ、それほど危険はない。
車の事故は絶えないが、それでも車を利用し続けているのには危険と利便性を天秤にかけて、利益が上回ると判断しているからだ。どんな事象もリスクゼロにはできない。ある程度のリスクは保有したままで、適当なところで折り合いをつけるのだ。
むやみに怖がるよりも、重大な事故にならない程度に小さなリスクの経験と抵抗力を高めていく。そして緑地を歩くことは、癒やしと発見に満ちた宝物のような経験になるはずだ。一緒に楽しみ方を見つけていきたい。
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
いのちのことば社
スーザン・ハント
「緑のまきば」
「聖霊とその働き」