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世田谷通信(172)
猫草
里山の竹林で何本か竹が枯れていた。10mぐらいの高さでぐんにゃり折れ曲がっているのもある。放置すると危ないので伐ることになる。せっかくの機会なのでやらせてもらった。これまで一人で竹を伐ったことはなかったのだ。まず、どちらの方向に倒せば良いかを考える。なにしろ高低差20mの急斜面。国分寺崖線の中でも最も傾斜が急な場所なのだ。竹の向きや切った後の移動、他の竹との位置関係で倒す方向を決めたら、そちらに竹切り用のノコギリで切り込みを入れる。受け口というのだそうだ。幹の半分ぐらいまで切れたら、受けの少し上の位置で反対から切る。これが追い口。こうすると最初に切った受け口がつぶれて倒したい方向にちゃんと行ってくれる。ところが最初の1,2本はできたのだが、直径20cmはある竹は固い。だんだん腕が疲れてきて、受け口が斜めになり、追いとの高さも合わない。こうなるとやっかいだ。ベテランのみなさんに「もう危ないからどいて」と言われ、かえってご迷惑になる始末。
やってみたい気持ちはあっても、技術や知識、それに腕力、体力がないと危ない。ボランティア活動は一度事故があると活動自体が縮小されたりするので、本当に注意が必要だと思う。別のボランティアグループで、鉈が滑って自分の親指を切り、救急車を呼ぶ事故があったと聞く。斜面で転んで複雑骨折した方もいる。そもそも高齢者が多いので丸太みたいに重い物は運べないし、杭打ちとか浚渫とか、パワーの要る作業ができない。
そうなると若い人たちに参加してもらいたいわけだが、定期的にとなると難しい。イベントの日だけ一緒にササを刈ったり、竹コップを作ったり、外来植物を除去したりといった気軽な里山体験は結構人が集まる。農大の先生に森林を案内してもらって森林療法体験をするのは人気のプログラムだ。小学生だってやり方を教えれば一生懸命落葉かきをやってくれる。でもボランティアグループに入会するのは人間関係が面倒くさそう、毎回出るのは忙しいから無理、組織なんて勘弁してよ、なのだ。高齢者ばかりで世代間ギャップもあるだろう。それなら今は自然の中で汗を流して、楽しかった思い出を重ねてもらおう。将来的に時間ができたときに、じゃあボランティアでもやってみようか、という気持ちになるのを気長に待ってみましょう。それまで自分にできることは、ベテラン勢からいろんなノウハウを受け継いで、できるだけ蓄積し、途切れさせないこと。さて、教えてくれる人たちがいるうちに、竹もまた切らせてもらおう。
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
いのちのことば社
スーザン・ハント
「緑のまきば」
「聖霊とその働き」