[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
世田谷通信(177)
猫草
NIMBY(ニンビー)という言葉がある。No in my Backyardの頭文字をとった造語で、直訳すれば「うちの裏庭以外で」、と言った感じか。廃棄物処理場や火葬場、発電所や飛行場、最近では幼稚園や福祉施設もそれにあたるらしいが、要するに社会生活を送る上で必要不可欠とみんなが思うもの。大切さは重々承知していて、その恩恵にはあずかりたいけど、自分の近所には欲しくない物。総論賛成各論反対というやつだ。
そして今、自分がまさにそういう事態に直面している。5年前にシロアリ駆除、薬の効力が消えて再度散布というタイミング。業者さんに床下にもぐって頂き、点検をお願いした。そして、シロアリはいないが、ただ・・ゴキブリがたくさん・・と言われて鳥肌がたった。だめなのだ、あれだけは。
特にあちらの床下と指さした場所に、あっと思い当たった。裏庭には雨水タンクがあって、わざわざ落葉を集めて作った腐葉土、伐採した雑木が積み上げてある。水と土と木、生きものにはさぞかし快適だろうと思われる環境を作って、これが生物多様性よね、なんて悦に入っていた場所である。
それこそ害虫発生の温床です、自ら呼び寄せていますよと言われて、即白旗。撤去である。雑木を小さく切り、燃えるゴミに出す。腐葉土を片付けて防犯砂利を撒く。生物多様性大いに結構、ただしうちの裏庭以外でね、というわけだ。これこそニンビー。苦笑するしかない。
猪熊弦一郎という香川県丸亀の画家がいて、無類の猫好きとして知られている。作品も猫だらけ。家の中も猫まみれだったようで、調度品はぼろぼろ、動物園のような異臭がしたらしい。戦時中は疎開先に猫同伴で顰蹙をかい、その猫が戦時中たいへん貴重だった雌鶏を殺してしまって大問題になったそうだ。それでも猫たちを手放さなかった。それどころかニワトリを狙う猫のデッサンを描いている始末。寛容、いや無頓着。ご近所のため息が聞こえるようだ。
何かを受け入れるためには何かを諦めるしかない。我慢できないなら欲しがってはいけない。それでも人は何度も言う。大いに結構、全面賛成、どんどん推進して。ただし家の裏庭以外でと。
成城緑地内の栗の木にシジュウカラが巣を作り、6匹の雛が口を開けています。
写真を送ります。可愛いね。
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
いのちのことば社
スーザン・ハント
「緑のまきば」
「聖霊とその働き」