2023年7月号
№193
号
通巻877号
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…キリスト教…
社会福祉活動のあゆみ(13)
キリスト教公認後の貧しい人々への救済(6)
中世教会の貧困問題の対策の基本原則(4)
教会の全く善意の貧しさからの救済活動を悪用していたからと言って、そのような者は、何時の時代にも必ずいるもので、そのために救貧活動のあらゆる分野に於ける教会の創始者としての、また、開拓者としての苦心や努力を非難・無視することがあってはならないことです。むしろ、このようなことは、制度の罪・欠陥とするのではく、人間の弱さであると認めるべきであります。
アッシュレーは、その本(英国経済史及び学説)の中で、中世の慈善の実践に関する疑念を指摘していますのでご紹介いたします。
中世の形態の1つの中で、同情的態度を示した事柄もありました。それは、遺贈によって嫁資のない貧しい娘たちが結婚できるようにするために、持参金を与えたやり方に対してでありました。
「時に遺贈は貧民の子弟の教育または嫁資のない娘の結婚に向けられたが、これもまた何ら害を生ずることのない慈善の形式であった」とも書いています。
ゾーダンも「中世のイギリスにおいて、贈与が孤児であるか、あるいは困窮している家庭の娘たちが嫁資として、役立てられていたこと」を認めています。そして、「これらの贈与は、それがなければ資金のない若い二人を、世の中に少なくとも見苦しくないようにして、送り出してやるために意図されたものであって、これらの基金のあるものは、この時代に極めて実質的な社会的寄与をなしていたと推測し得る広く行き渡った証拠がある」と言っています。
そうであっても、アッシュレーの記述を全体的に見れば、中世の慈悲の効果を非難しています。それは「慈善的遺贈を行う動機が来世に於ける利益の確保にあったことに気付かざるを得ない」とか、また、「このような施与が確かにでたらめであり、堕落させるのであったことは問題にしなければならないほど当然である」とか、その他の指摘がなされています。
中世の無差別の施しについての従来のこのような評価は、史家・学者によりますと、「資本主義初期の産業社会における一般的な思想傾向に影響されていたからであろう。窮乏の内にいる人がいたら、その人は「刑罰に値する怠惰な奴」であると考えられた。全ての労働者は、この窮乏に対して公的救助が、もし甚だしい恥辱や苦痛を伴わずに与えられたならば、何時までも働かずに怠惰に救助を受けて暮らすのを望むだろうと考えられた」と述べられていました。
このような「貧しさ=怠け者」という原則・考え方は今日においてもあります。そのような思想にある人々には、飢えている人に対する最も大切な救済方法は、先ず無条件に空腹を満たしてやることである、と言うような中世の素朴な救貧観は、とうてい受け入れられないものでしょう。
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緑を大切に!
書籍紹介
エネルギー技術の
社会意思決定
日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授
「本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
共著者・編者
鈴木達治郎
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント
スーザン・ハント
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
鈴木英昭著
「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円