忍者ブログ
2023年7月号  №193 号 通巻877号
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

 

 バラ・マカルピン 日本伝道百年史・・13・・   

     水垣 清著

 (元中津川教会牧師・元「キリストへの時間」ラジオ説教者)

8 バラの伝道・・5・・

 1876年(明治9)、信州上田教会の建設を見てから、この中山道の信州伝道はバラ先生にとって、パウロの如く「しばしば旅行して河の難、盗賊の難、同族の難、異邦人の難、市中の難、荒野の難、海上の難、偽兄弟の難にあい、労し、苦しみ、しばしば眠らず、飢え乾き、しばしば断食し、凍え、裸なりき」(Ⅱコリント11章26~27)とあるように、文字通りワラジがけ伝道の不便な旅には嵐あり、野宿ありの苦労であった。

それは1880年(明治13)頃、中山道の和田峠に嶮を越えて下諏訪宿に辿り着いた先生は途中、木陰で祈っては休み、聖書を読んでは力を与えられて、宿場に入ると路傍伝道をして人々に語り掛け、旅宿を集会場にして求道者を得、やがて上諏訪の地に講義所が開かれるに至った。

日本キリスト改革派上諏訪湖畔教会の飯田幸之助牧師の談によると、

「当時、バラ宣教師は和田峠を駕籠で来たり、甲州路から馬で来たりした。家庭集会や路傍伝道に努め、おぼつかない日本語で、相手のだれかれなく語りかけ、病者にはぶどう酒を贈るなどして、生血と誤解された逸話が残っている。1909年(明治42)位までの間、伝道拠点として或る家に、また他の家庭集会に、路傍伝道にと、しばしば来たりて活動された。後、上諏訪町の発展とともに集会は上諏訪に移り、教会が設立された。・・・。聖餐式にあずかった時、バラ宣教師ゆかりの聖杯でぶどう酒を飲んだ記憶がある。それは普通、仏壇に使う飯を盛る陶器であった。バラ宣教師がぶどう酒を飲むに都合がよいというわけで仏具とも知らずに買い求めてきたとか」。

バラ先生が、今日のように聖杯用具のない時代に、格好の杯代用品のものを(仏具用に造られたとしても)探して用いられた、その苦心は想像するだに興味深いことである。筆者は、日本基督教団諏訪教会を訪ね、ありし日の聖杯並びに洗礼の水鉢を見せてもらった。20数個の杯は、全く聖餐に用いるに格好のものであった。洗礼水鉢は雑器のように保存されていたが、それは鍋島焼柿右衛門の立派な手描きの美しい菓子鉢だった。その逸品は現在では入手しがたい品として大切に保管されるよう、吉田勇牧師にお話して辞去した。

諏訪教会にはバラ先生による受洗者の記録はなかったが、同市内の日本基督教団上諏訪教会(ホーリネス系)の西川博彬(ひろよし)牧師を訪れて、同教会の役員で旧日本基督上諏訪教会員であった呉服商長瀬太郎氏の祖父唐沢源治郎氏が明治14年伊那谷(坂下)でバラ先生から受洗したとの話をお聞きした。すでに明治13年頃、諏訪から伊那谷の伊奈町(現伊那市)、飯田を経て神坂峠を越え、馬籠宿中津川宿を経由、瀬戸、名古屋のコースを取られ伝道旅行されたようである。

北信州の上田、長野、南信州の松本、諏訪、坂下(伊那)、飯田などの教会は成長して、明治末期には、それぞれ主任者が定住して伝道した。

  ダッチリフォームドミッション(東京中会内)伝道地(明治4411月調))

四 谷 東京市四谷区大番42   稲垣   信 (教 師)

長 野 長野県県町76      木村  熊二 (教 師)

松 本 松本市仲町        杉本 栄太郎 (伝道師)

坂 下 長野県上伊那郡伊那町   小口久左エ門 (伝道師)

飯 田 長野県下伊那飯田町    内山  成生 (伝道師)

諏 訪 長野県諏訪町横町     西山  知義 (主任者)

三 島 静岡県三島町       三浦   徹 (教 師)

柏久保 静岡県田方郡北狩野字久保 栗原 喜久治 (伝道師)

御殿場 静岡県御殿場二枚橋    園部 丑之助 (教 師)

 

以上がダッチリフォームドミッションの伝道地として伝道の成果を見たところで、バラ先生やその他の宣教師による働きの果実であると見てよいであろう。また名古屋地方の伝道もバラ先生が横浜から東海道経由で来られ伝道された(名古屋の東海道線開通は明治22年)。

 

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
ブログ内検索
カウンター
★ごあんない★
毎月第一日更新
お便り・ご感想はこちらへ
お便り・ご感想くださる方は下記のメールフォームか住所へお願いいたします。お便りは「つのぶえジャーナル」の管理人のみ閲覧になっています。*印は必須です。入力ください。
〒465-0065 名古屋市名東区梅森坂4-101-22-207
緑を大切に!
お気持ち一つで!
守ろう自然、育てよう支援の輪を!
書籍紹介
    8858e3b6.jpg
エネルギー技術の
 社会意思決定

日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
 定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授

本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
 共著者・編者
鈴木達治郎
電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本

      d6b7b262.jpg
教会における女性のリーダーシップ
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント 
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
217ff6fb.jpg 








「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
定価 2000円 

b997b4d0.jpg
 









「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
 a0528a6b.jpg









「十戒と主の祈り」
鈴木英昭著
 「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
4008bd9e.jpg
われらの教会と伝道
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本

0eb70a0b.jpg








さんびか物語
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円

Copyright © [   つのぶえジャーナル ] All rights reserved.
Special Template : シンプルなブログテンプレートなら - Design up blog
Special Thanks : 忍者ブログ
Commercial message : [PR]