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『その愛のゆえに』
=時々の記=
(152)
10月16日
ちょうど、食事の準備を整えよとしていた矢先、プツンという音とともに電気が切れてしまいました。ブレーカーを見ても何もどこも漏電している様子はありません。お隣にまで走って尋ねに行こうとしたら、主人が電気が来たぞーと大きな声をかけてくれたのでほっとしました。たったの五分程度でしたのに、この慌てぶり。でも電気が来なかったら、全く何も食事の準備ができないのです。普段便利な生活を当たり前に思ってしていることがとても恐ろしくなりました。家の中は真っ暗です。
外に出て慌てている私が恥ずかしくなりました。気持ちを落ち着けて空を見上げると、下弦の月がほっこりと私を照らしているのです。一瞬でしたが、月の明かりを見て心が落ち着きました。夜長に月をめでたり、星を眺めたり、そのようなゆとりを無くした生活を見直したひと時でした。
10月23日
結婚して45年になります。このような田舎のしきたりの多い中、また主人の母との同居など、勉強になったことがたくさんありました。若いころは体が弱くて、勤め先の学校も休みがちでした。そんな私がこの年齢まで生かされていることが不思議でなりません。神様の憐れみによって生かされ続けてきたのですね。
昨日は礼拝の帰り、結婚記念日ということで、お寿司屋さんに寄ったら、すぐに出てくる外食という名の食事をしました。主人の支えあっての山添村での生活でした。我ながらすっかり山添村に溶け込んでいるのが不思議なくらいです。
装へる山より町の教会へ。
峠道固まりをなす野菊かな。
川向う、屏風なしたる紅葉山。
神の国求めよと読む冬隣。
崖の道つづれ折りなり秋出水。 馬場路哉
10月26日
晴れわたっていた空が、雲行きが怪しくなってきました。明日は村のみんなが楽しみにしているというのに、雨のようです。今年は笛の音、太鼓の音が一段と小さくなっています。
秋街道貧しき庭に灯りける。
秋嶺の布引山地藍深し。
虎杖(いたどり)の花白きこと、雛の道。
小鳥来てよ聞こえ聞かす朝かな。
芝の上急ぎをるなり秋の蝶。
ムシへの注意忘れず草を刈る。
庭策に飾りと巻きぬやいと花。
昔よりところ変わらず曼珠沙華。
山峡の深田の確と落とし水。
低音のリストの曲に秋深む。 馬場路哉
11月1日
いよいよ、11月の始まりです。気ぜわしい季節になりました。夕暮れは早く、太陽の明るさが暗く感じられます。冬支度に慌てています。庭の南天の葉っぱがとてもきれいに染まってきました。それが北風に揺れてかすかに動いている様子はまさに絵のような美しさです。それに寂しい庭ながらも南天の赤い実がたわわに実り、まんりょうの実もそれに負けじとたくさんの実をつけています。空を見上げるとカラスがその実を狙っているのがよくわかります。つかの間の命なのです。
装へる山より町の教会へ。
峠道固まりをなす野菊かな。
川向う、屏風なしたる紅葉山。
神の国求めよと読む冬隣。
崖の道つづれ折りなり秋出水。 馬場路哉
つい先ほど、大きなお鍋を中途半端な姿勢で持ち上げようとした途端、腰にギクッと来ました。何とか立てるものの歩くのはそろりそろりです。左股関節も痛み始めて、なかなか前に進めませんが、ゆっくりでも前にと思って、いつもの倍以上かかっての散歩となりました。
11月6日
カレンダーを見て、あれ今日は私の誕生日だと気が付きました。明け方に生まれたのか、明けの明星の美しさに父が暁美と名付けてくれました。この年まで支えられてきたことに感謝いたします。今日は昨日よりもさらに暖かく感じられました。秋の虫たちがびっくりして、顔をのぞかせています。
11月9日
午後になると、雨がやみ、お日様が照りだし始めました。このところ、温かい日が続いていますが、また来週は寒い日がやってくるというのです。ようやく、蔦の葉っぱがきれいに色づき、漆の葉が中でも際立っています。どの葉っぱも競い合うかのように一斉にそれぞれの色で美しさを楽しませてくれているのです。
この頃の散歩では、それぞれのお家でイルミネーションが飾られ始め、目を奪われています。山の中での人工的な電飾です。違和感があるものの、目はそちらに奪われます。伺ってみると、大阪から最近、山添村に定住されるようになったとか。猪や鹿ばかりが目に付くので、寂しく思われたのでしょう。
11月12日
とてもとても小さな秋を我が家から出た道の土手に見つけました。南天の木の陰に隠れるようにして、まるでぶどうのように実を房状につけた赤い実が目を引くかのように、じっと私を見てくれています。近づくとまさに真っ赤な宝石のような美しさで輝いています。これは不思議だなと南天が変形してこうなったのかしらと考えていましたが、ちょうど主人が近くにいたので尋ねてみました。俳句歳時記を手に出てきました。その歳時記は写真付きなのです。調べるとその名は“美男かづら”という名だとわかりました。万葉集の時代にその花から出てくる油で髪の毛を整えたことが花の名の由来だと書かれていました。初めて知っためずらしい花の名前。とてもうれしくなりました。
馬場暁美
「上野緑ヶ丘教会会員」
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
いのちのことば社
スーザン・ハント
「緑のまきば」
「聖霊とその働き」