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世田谷通信(184)
猫草
何かの話の流れで「ATP」という言葉を使った。自分で言ってから何のことだっけ?と思った木曜日のことである。土曜日の朝、目が覚めたときに「アデノシン3リン酸」という言葉が浮かんだ。何のことだっけ?あ、ATPね。「何?」と思ってから脳内では無意識にずっと検索を続けていて3日かけて答えを出したのだ。どれだけぐるぐると行き止まりだらけのシナプスを行きつ戻りつしながら、答えにたどり着いたのやら。1ワードの検索に3日って、パソコンならもう絶対捨てているレベルの遅さ。
さらに1週間して、さてATP、まだ覚えているかなと自問自答すると一拍おいて「アルギン酸」という言葉が浮かんだ。いやいやそんなわけないでしょう。アと酸しか合ってない。何を自信満々に間違った答えを出しているのか。パソコンだったら修理を断られ、買い換えを勧められるやつである。
日常レベルでのうっかりはもう書き始めると嫌になるほどだし、仕方ないのだと思う。すぐにその場でメモすることが一番大事だし、メモしたことを覚えているうちに他の人やカレンダー、スマホのスケジュール帳に転記するのも大事。
記憶を外部化することなんて昔からやっていたわけで、たぶんそういう物から抜けていくのだと思う。人の名前や電話番号のように、そもそも覚えていないことは当然。逆に何が残るのだろう。歌は有力候補だと思う、聴けばよみがえってくる確率が高そう。暗記物はほぼ全滅として、百人一首は反射で覚えているように思う。
料理研究家の城戸崎愛さんが晩年出したレシピ本に驚いた事がある。若い頃はフランス料理をコルドンブルーで習得し、凝った料理を作っていた方が、最終的には
「フリーズドライのお味噌汁も最近とても美味しい。お湯を入れるだけで良いです。」と書いていた。仰るとおり、自分で出汁をとるなんて面倒なことせずとも、お店に行けば顆粒でも液体でも、キューブでもずらりと多彩に取りそろえられている。
将来仕事の大半は人工知能に取って代わられるというのは、若い人には警鐘だろうが、老年にとっては福音である。細かい手続きも段取りも、やってくれるならどんどんお任せしたい。ただし人工知能にはできないこともあるのでそれをのんびりやるとしよう。庭の草むしりとかウサギを撫でるとか。
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
いのちのことば社
スーザン・ハント
「緑のまきば」
「聖霊とその働き」