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世田谷通信(189)
猫草
図書室にいて、難しい質問だなあと思うのが「何か面白い本ないですか?」である。さて前回紹介したビブリオバトルだが、先生と私で各1冊、約5分で紹介し、それを聴いた子ども達が「読みたい!」と思った方に手を挙げてもらった。結果は、先生に数人、残りは私に手があがり、ちょっと気まずい。
そもそも全員がこれは面白い!最高!と思う本はない。本屋大賞にしても課題図書にしても、「このミステリがすごい!」にしても、結局好みは分かれるものだ。何を好きで、嫌いで、何を知りたいか、或いは楽しい、嬉しいと思うかは人それぞれ違う。だから図書館には何万冊も本があるし、本屋さんには毎年新しい本が並ぶわけだ。
本の読み方にもコツがある。本に隠れたメッセージを見つけられるか。キーワードという言葉がある。鍵を見つけて自分の心を開く作業ができるかどうか。
たとえば、今西乃子著「捨て犬・未来と子犬のマーチ -もう安心していいんだよ-」という本を紹介したとしよう。ノンフィクションである。この犬は、ほんの生まれたばかりの子犬の頃に人間に虐待を受ける。右の足首を切り落とされ、さらに左足の指も全部切られ、右目も切られて捨てられる。その後、収容施設に運ばれ、殺処分寸前になる。
普通なら人間不信になるだろう、或いは攻撃的になるか、恐怖で心を閉ざすかもしれない。しかし、この犬はそのどれでもない別の方法をとる。その結果生き延びて、新しい飼い主を得て「未来」という名前をもらい、元気に長生きする。それだけではない。日本全国100校以上の学校やいろんな施設を回って、2万人以上の人にふれあい、笑顔と勇気を与えている。
絶体絶命のピンチ、殺される寸前だった子犬がとった行動、たった一つの正解がこの本に隠されたキーワードつまり「鍵」である。それが何か知りたい、そう思った人は、ぜひこの本を読んでみて。そんな風に紹介したら、興味を持ってくれるだろうか。
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
いのちのことば社
スーザン・ハント
「緑のまきば」
「聖霊とその働き」