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世田谷通信(192)
猫草
課題図書というのが5~6月毎年発表される。子どもの頃はこれが嫌いだった。課題は宿題に通じる、強制的な感じがする。そもそも読書は自由で、大人から学年に応じて読めと強制されるなんてまっぴらだと思っていた。読書遍歴は頭の中身と同等、他人の前で本を読むのも晒すようで好きではない。好きな本を聞かれるのも抵抗があって、いつも無難に「赤毛のアン」と答えることにしていた。そう言っておけば大人は納得するからだ。小学生で歴史小説や外国文学、古典SFを読破しているのは秘密だった。理解していたか疑問は残る。文章を味わうのとは無縁で、とにかく高速、丸呑みで読み潰していた。
偏った自分の読書傾向はさておき、図書室でずっと本に関わって、子ども達の読書離れという言葉を聞く。読む子は勝手に本を手にとって行くけれど、そうではない子もかなりの数がいる。きっかけづくりも必要なのだと思うようになった。本のPOPや紹介コーナー、課題図書というのも良いものである。本の専門家が沢山の新刊のなかから「これは」と思う本をピックアップしている。当然内容も深いし、興味をひきそうなジャンルも配慮され、読み物だけでなく科学的な本も含まれるようになった。
図書室での授業時間を少し借りて、それらの本を1冊30秒ぐらいで紹介していく。見所、概要、背景など、学年に応じて、それぞれ心に届きそうなフレーズを考える。紹介した後で、課題図書コーナーに皆が集まってきて、次々に本を手にとって貰えると嬉しい。ぱらぱらめくって戻す子もいるが、そのまま1,2頁読み、借りていく子も居る。本が好きな子は、これ面白そうという嗅覚が働くのだ。装丁やタイトル、わずかな手がかりからそれを拾い上げる。そうではない場合はうなぎ屋さんのように、外に向かって香ばしい煙をうちわであおぐ必要がある。うなぎと同様で、食欲をそそられて店に入ったものの、あの味を美味しいと思うか、あまり好きじゃない・・と思うかは、まあその人次第ではあるけれど。
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
いのちのことば社
スーザン・ハント
「緑のまきば」
「聖霊とその働き」