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2023年7月号  №193 号 通巻877号
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 バラ・マカルピン 日本伝道百年史・・22・・   

     水垣 清著

 (元中津川教会牧師・元「キリストへの時間」ラジオ説教者)

 

11 名古屋地方とマカルピン・・3・・

バラ先生にとって大きな問題は、この年123日、東京数寄屋橋教会で開かれた第6回日本基督一致教会大会で(議員107人、教会72個)、日本基督教会と改称された大会であったが、それは原案の信仰箇条(ウエストミンスター信条を改正して、英国のプレスビテリアン教会の採用したもの)を全廃して、これに代わるものとして使徒信条のみを採用するという修正案が、バラ先生の最も信頼した愛弟子の稲垣信(海岸教会牧師)から出されたので、議場はもちろん宣教師たちもその乱暴な非プロテスタント的時代逆行の議案に唖然としたのであった。

しかしこの提案には、当時の時代的背景があった。それは、1、日本の一般信徒の信仰レベルは、ウエストミンスター信条を受け入れるには、神学的すぎること。2、従って、全教会員の受け入れうる唯一の告白信条が必要であること。3、当時のキリスト教界は、新神学の流入とともに、特に、教会制度、組織、信条否定のプリマス・プレズレン派によって、激しく動揺し教会脱出者が続出し、分裂、解体の危機にあったからである。

プリマスの名は「教会荒らし」として、いみ嫌われていた。特に稲垣信教師の海岸教会でもプリマス派によって動揺し、これに加わる長老、神学生、有力信徒たちの教会退会が多かったのである。

その原因は、教会制度や信条に対する知識の不十分さによることながら、こうした教会の現実問題のために、信条や制度はなるべく簡潔に実際的である方が良い、と言うのが稲垣牧師の使徒信条採用案となったのである。

この討議は3日間に及び、遂に使徒信条に前文を付すことによって、満場一致で可決されたが、この稲垣牧師の提案を聞かれたバラ先生は、悲憤慷慨され、数日間は、稲垣牧師から握手を求めても、これに応じず、話しかけられても返事もせず、恐ろしい眼で稲垣牧師を睨みつけられた、と言う。

リフォームド(改革派)の信仰に立っておられたバラ先生から見れば、日本のプロテスタントの主流である日本基督教会が、使徒信条のみで立とうとすることの危険とその信仰の告白を嘆かれて、これは悪魔の業であると思われたに違いない。

時代迎合主義が知らず知らずのうちに、当時の教会の主流派に将来への方向を誤らしめたこの出来事は、重大なきっかけであったと言えよう。

=写真=

米国に於けるJ・A・マカルピン師とその家族(1941)

 

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