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「キリスト教百話」
問28 キリスト教は、大きく分ければカトリック教会とプロテスタント教会になると思いますが、どうちがうでしょうか。
答・・2・・
日本聖書協会によって、ローマ・カトリック教会とプロテスタント教会の聖書学者による共同の翻訳作業によって。「新共同訳聖書」が出版され、それぞれの教会で多く用いられています。聖書を信仰の規範としていることにおいては、どちらの教会においても違いはありません。ただし、聖書には解釈が必要であります。そして、そうであれば、どういう解釈が正しいものとするかについての問題が起こります。
その際、カトリック教会は聖書解釈の決め手となる権威は教皇にあるということになります。その権威は、遡ればペトロに至ります。ペトロはイエスに「あなたは活ける神の子キリストです」と告白しました。これに対し、イエスは「あなたはペトロ、わたしはこの岩の上にわたしの教会を建てる」と宣言し、ペトロには「わたしはあなたに天国の鍵を授ける」と言われました(マタイ16章)。ここでペトロはキリストから天国の鍵を授けられた者として、教会の権威の担い手とされたのでありまして、この権威を「ペトロの座」と言い、この権威の座を継承する者が「教皇」であるというのが、カトリック教会における教皇理解であり、これが教会の「伝統」となっているわけであります。
一方、プロテスタント教会においては、既述したことによって明らかなように、教会と信仰の権威の所在は「聖書」にあります。聖書により、また、聖書を通して語りかけられる神の言葉にこそまことの権威があるというのでありますから、ここに二つの教会のちがいがあります。ただし、聖書をまことの権威とすると言いましても、その内容をどう受け止めるか、神の言葉として聞くべきことは何かと言うことになりますと、基本的には聖霊の導きがあってのことでありますが、受け止め方や解釈に、微妙なまたかなりの違いが出てくることになりまして、教理やマリアの位置や典礼などについての様々な違いがありますが、基本的には以上述べたことが、両教会の違いの要点であります。
キリストを信じることにおいて一つでありながら、このような違いを持ったまま個別的に活動しているのはキリストの名に相応しくないのではないかと言うことでなされているのが「世界教会一致運動」(エキュメニカルムーブメント)と呼ばれているものであります。また「世界キリスト教協議会」(WCC)というのもありまして、出来る協力はしようという姿勢と動きがあることは知っていてよいのではないかと思います。
ただし、プロテスタント教会の側の問題としては、聖書を拠り所とすると言いましても、その解釈の仕方によっては、キリスト教ではなくなってくるということが、「統一原理」と称する集団発生に見られるところでありまして、聖書の内容の展開の豊かさと、それからの逸脱には峻別が求められます。他人事でなく心したい点であります。
篠田 潔
(日本基督教団隠退教師・元中部日本放送「キリストへの時間」協力委員・ラジオ説教者)
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
いのちのことば社
スーザン・ハント
「緑のまきば」
「聖霊とその働き」