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世田谷通信(202)
猫草
この原稿を作っているノートPCは6,7年は経過している古いものだ。当然劣化はしていて、動画の再生はスムーズにできない、なので別のノートPCも使っている。こちらは画面が綺麗で軽い。しかしキーボードが薄っぺらでどうにも気持ちが悪い。ミスタッチが増えるので、作業スピードが落ち、結局古いPCに頼っている。
毎日便利に使っているパソコンだが、寿命はある。もう使えなくなったが処理が面倒・・と放置していたノートPC数台をこのほどリサイクル業者にだした。個人情報の漏洩防止には、初期化だけでは不十分で、専用のソフトによるハードディスクの完全削除が必要。1台結構な時間がかかり、そもそも動作に問題があるので、途中でエラーが起きるし、面倒ではあるが、ここまですれば心置きなく回収業者に出せる。
コンピュータなどを動かす基盤の中には地球上でほんの少ししか採取できないレアメタルが含まれているそうだ。大量に廃棄されるPCや携帯電話、これらの基盤から純度の高い希少金属だけを取り出すことができれば、一つ一つのパーツは微量でも、何万台と集めれば大きな資源となる。いわゆる「都市鉱山」と呼ばれるものだ。地球のどこかで新たな鉱山を発掘するより、手間をかけても適切に分別処理するのはどう考えても環境に良い。一度山を削ってしまったら、もう人の力では元に戻せない。わずかな金属の採取のために大量の土砂は捨てられる。残土は谷を埋める。削ったところから浸食は進む。埋まった谷は災害のきっかけになる。環境破壊としか言いようがない。
しかし、大変な作業なのだ、機械の分解は。もう10年以上前、カラープリンターが壊れて捨てることになり、小学生だった息子と一緒に興味本位で「分解してみよう!」とドライバー片手にやってみたことがある。外装は簡単にネジで外せる。しかし内部は複雑な構造でがっちり接着。溶接、配線されていて全然とれない。モノづくりをなめてはいけない。簡単に取れないように作ってあるのだ。当然だ。途中で嫌になってきたけれど、プラスチックと金属は分けないと捨てられない。ここまで分解したら回収業者さんにもだせない。要するに引くに引けない。コンパクトに収まっていたのを分解したら嵩が増している。かえってゴミ、増えてない?元にも戻せない。結局力任せに何かを捻じ曲げたら、残っていたインクがタコ墨のように噴き出して顔と服に浴びた。子どもと笑ったいい話・・ではない、一瞬で部屋に赤インクが飛び散って事件現場さながら。自業自得の悲しい話である。インクはあちこちを汚し、なかなか取れなかった。この一件で大変反省したので、あれ以来、もう機械の分解はやっていない。
きちんと処理した古いPCは、自治体推奨の信頼できる回収業者さんに渡す。その他の家電も同じ。多少の処理料は当然かかる。分解は大変なのは身をもって知った。そして爪の先ほどのレアメタルを回収するのは重要だけれどすごく根気のいる仕事。専門の方に任せたい。そして願わくば新しい鉱山の発掘が少しでも減りますように。地球からの際限のない収奪が止まりますように。
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
いのちのことば社
スーザン・ハント
「緑のまきば」
「聖霊とその働き」