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世田谷通信(203)
猫草
5月末、急に声が出なくなった。在宅勤務、自粛など人と話す機会が極端に減った、家庭内のストレスもあるだろう。全くでないわけではない、簡単な単語は言える。ただ長文や、何か判断を伴うと、ぐっと喉がつまって頭の中が白くなり、とたんに言葉が出なくなる。ぱくぱくして、声もかすれる。心療内科で「心因性失声症」とのこと。機能面に問題がないならそうでしょう。薬をもらって帰る。幸い土日なので特に不便はない。問題は仕事に支障がないかだ。
体は普通なので買い物に行く。スーパーは会話なしでできる、むしろ今はしゃべらない状況だ。店内の音がいつも以上に気になるのでワイヤレスのイヤホンをしていく。音楽を聴いているわけではなく、ノイズキャンセリング機能で、周囲の音は聞こえるが雑音は拾わないのだ。長男に教えてもらった。便利なものである。
帰り道ホームセンターに行こうしたが気持ちが乗らず、またにしようと引き返した。すると、さっき通ったばかりの交差点で人が倒れている。交通事故。自転車の男性が横にいる。周囲の人が高齢男性を歩道に移動させている。
男性の意識はあるが、右側頭部をさすっている、手足に擦過傷、ふらついている、脳震盪、救急車!と思ったが、悲しいかな声が出ない。私の隣にいた女性が「頭打ってるなら、動かしちゃだめですよ、救急車呼びましょうか?」と言っている。そう、その通り!いつもなら私も言えるのに。大きく頷いて賛同をしめす。
でも自転車の男性も倒れた男性も「大丈夫、大丈夫」と救急車も警察も呼ぶ気配がない。信号が変わる。当事者同士が大丈夫と言うので、気遣いつつみんなが立ち去りはじめる、どうしよう。いや、放っておけない、頭を強打しているなら脳内出血があるかもしれない。すぐ近くに交番があったのを思い出す。中に居た巡査が私の表情をみて「どうしました?」とすぐに出てくる。「・・事故・・」とだけ絞り出して、場所を指さす。あとは紙に状況を走り書きして対応を任せる。危機管理に慣れている人は的確に動いてくれるのが良い。ほどなく救急車のサイレンが聞こえた、きっと適切に対処してもらえたと思う。
声のほうは薄皮をはぐように改善し、幸い仕事には支障なかった、何より小学生の子供たちと話すのが良かった。むしろあちらの方が話すのに緊張している。(大丈夫だよ、大人だって緊張すると声でなくなるんだよ。)心の中でそっと思う。
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
いのちのことば社
スーザン・ハント
「緑のまきば」
「聖霊とその働き」