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世田谷通信(205)
猫草
買い物中、聞覚えのある曲にふと立ち止まった。ジョン・デンバーの「Singing Skies and Dancing Waters」が店内に流れているではないか。代表作の「カントリーロード」は色々なカバーで耳にするけれど、何故、メジャーではないこの選曲なのか。
懐かしくて、帰宅してからスマホで検索した。音源はYouTubeにあり、歌詞も検索出来た。どういうからくりか、大抵の古い音楽は無料で聞ける。オリジナルだけでなく、素人の「歌ってみた」やら「演奏してみた」も含めたら膨大な量である。素人といってもレベルは様々。プロ並みの歌唱力、アレンジ力の人たちもたくさんいて、世の中才能のある人は多いんだなあと感心する。
最新の曲は有料の配信サービスを利用しているが、月額ワンコインで高音質、聞き放題というのもある。音楽だけではなく、ドラマや映画、スポーツ中継、教育、文化あらゆるものが配信されている。電子書籍もそう。紙より安価だし、何百万冊が読み放題というサービスもある。便利だなと思う一方、これでは紙の本が売れないなと思う。図書館に関わる立場としては微妙な気持ちである。
『本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~』(著:香月美夜)という大人気の長編ライトノベルがある。無類の本好きの女子大学生が司書になる寸前に不慮の事故で亡くなり、5歳の女の子に転生する。そこは中世ヨーロッパのような異世界で本は貴重品、貴族しか読めない。そこで前世の記憶を頼りに「本がないなら自分で作る!」と奮闘が始まる・・というファンタジーだ。これを読むと改めて文字を記録すること、共有することの貴重さ、難しさに気が付く。
『Dr.STONE』というコミックもそう。一度失われた文明をもう一度よみがえらせるための途方もなく地道な軌跡。ここでもレコードという形で歌が保存されたものが、物語の大きなカギを握っている。
そう、1世紀前までは書籍は貴重品、情報統制もあり、簡単に入手できるものではなかった。つい最近まで音声や動画の保存も難しかった。それが当たり前のように、溢れているのは、奇跡のような瞬間だと思う。そしてその無数のアーカイブから40年以上前に聴いていた曲と再会できたのもまた、巡り合わせ、僥倖とも思う。
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
いのちのことば社
スーザン・ハント
「緑のまきば」
「聖霊とその働き」