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世田谷通信(217)
猫草
「カシノナガキクイムシ」これはある害虫の名前なのだが、舌をかみそうなので、通称「カシナガ」と呼んでいる。ナラやクヌギの木を枯らし、全国に拡大している。そういうとさぞ恐ろしい昆虫かと思うが、5mmほどの地味なやつである。
たとえると、ほうじ茶の小さい茶柱のよう。最初に見たときは、「え、どれですか?」と聞いたほど特徴がない。でも大量発生する。木の内部を食い荒らし、菌を増殖させて樹液の流れを止める。夏なのに茶色く葉っぱが変色するので被害木は遠くからでもわかる。幹に穴がたくさん開いて樹液があふれ、葉が枯れると樹木は衰える。最悪の場合は倒木となる。
原因もその生態もわかっているのだから、対策はできよう、様々な論文や報告書も出されているし。はじめはそんな風に軽く思っていた。しかし生き物はそう簡単にはいかない。予防薬剤注入も捕獲トラップも顕著な効果はみられない、そして被害は出てしまう。雑木林の斜面にはあちこちに茶色くなったコナラやクヌギがみられる。対策をとらなかったらもっと被害は大きかったかもしれない。結果論なのでなんとも言えない。
近くに建物や遊歩道に危険が及ぶ可能性のある木は早めに伐る。混みあった林にぽっかりと空白ができて、地面まで陽が入る。そうなればまた新しい植物が芽を出すだろう。
被害木はカシナガが侵入した穴がいくつもあいて、その下におがくずのような粉が落ちている。穴から樹液が出る。樹液が出れば昆虫が集まる。昆虫が集まるとそれを捕食する動物も来る。私たちは木を枯らす害虫だから対策を、と思うが、生き物たちは美味しい樹液を喜んでいるようにも思える。
果樹園なら、収穫のために害虫は駆除しなくてはならない。だが雑木林はある程度のサイクルで循環させることが大事である。でも薪にも使われず、雑木林はどんどん高木化していたのだ。
ずいぶん何本も枯れたなと思うのと、森林の更新手段かも、と思うのが半々の気持ちである。害虫、益虫の区別は人間の判断だけだから。
<いきいき里山ものがたり>
* 季節、季節の変化によって、いろいろの草花が花をつけ実をつけ、生き物も秋を迎えています。色鮮やかなクサギの実、アレチヌスビトハギ(荒地盗人萩)のマメは服などにくっつきやすい形状をしています。子供たちのはしゃぎまわる姿がそこここに見られます。クズの花とヨウシュヤマゴボウの実。紫のグラデーションが秋らしいです。キンミズヒキから秋の訪れを感じます。木目調をベースに目玉模様がたくさん、森の生き物のデザイン戦略でしょうか。秋もまた色鮮やかです。
=写真の説明も兼ねています。皆さんの投稿を歓迎いたします=
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
いのちのことば社
スーザン・ハント
「緑のまきば」
「聖霊とその働き」