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世田谷通信(222)
猫草
川沿いの遊歩道を自転車で通ると、巨大なレンズを備えたカメラを川面に向けている方がいる。年齢は様々だが男性が多いような気がする。不動の背中に、「何を撮っているんですか?」なんて聞ける雰囲気はない。きっと何時間もシャッターチャンスを待っているのだ。声をかけた瞬間に機を逃したら取り返しがつかない。
知り合いが木の上に向かってカシャカシャカシャカシャと連写している所を通りかかった。エナガのヒナが1本の枝にぎゅうぎゅう並んで団子状態の様子を撮りたいそうな。親切に「ほらその枝」と教えてくださったが、どの枝やら。下から見てゴマ粒ほどのエナガがそこにいるのにどうやって気が付いたのか。例年巣があってこの時期にヒナがいるという経験値か、あるいはさえずりを聞き分ける知識なのか。
写真が上手な方の作品は、ちゃんと「撮りたい」の完成イメージが決まっていて、その瞬間を逃さずとらえるために構図も時間も季節もぜんぶ考えて、丁寧にじっくりと時間をかけている。自然を相手にした撮影である以上、偶然の要素はもちろん多く含まれる。それでも上手な人はやはり美しい写真を撮る。それは必然なのだ。
わあきれいとスマホを向ければ写真は撮れる。でも対象への向き合い方が違うのだと思う。人の見ている世界は違う、たとえ同じ場所にいても、ひとつとして同じものはない。そして二度と同じ瞬間はない。どう感じて切り取るかは、自分次第なのだと川風に吹かれながらそんなふうに思う。
<いきいき里山ものがたり>
* もう畑の土手には土筆が出ていました。寒い冬の間、土の中で逞しく根を伸ばし、暖かい日差しを受けて顔を出してくれたのですね。春を届けてくれてありがとう。 徳島県 寒がりや
* 都会の公園にも春がきました。川沿いの梅や桜、排水溝から植物が育って自然のハイキングバスケットみたいな感じが面白いです。ジュズ玉が美しい天然のジュエリー、アジサイの冬芽と葉痕はミシュラクラ(影、面影、まがいもの)現象と分かっていても、つい微笑んでしまう。ある時期、人面魚が話題になりますね。身近にある公園や広場は、季節、季節に展示物の変わる芸術館のようです。
《写真の説明と投稿です》
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
いのちのことば社
スーザン・ハント
「緑のまきば」
「聖霊とその働き」