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2023年7月号  №193 号 通巻877号
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十戒と主の祈り      

鈴木英昭著

        (元日本キリスト改革派名古屋教会牧師)

主の祈り(文語)

天にまします我らの父よ

願わくはみ名をあがめさせたまえ

み国を来たらせたまえ

み心の天に成る如く地にもなさせたまえ

我らの日用の糧を今日も与えたまえ

我らに罪を犯す者を我らが赦す如く我らの罪をも赦したまえ

我らを試みに遭わせず悪より救い出したまえ

国と力と栄えとは限りなく汝のものなればなり

アーメン

 

=御名=

第一の祈り③・御名が崇められることが中心

       マタイ6:5~8

 「御名を崇めさせたまえ」という祈りが最初に来るもう一つの理由は、その後に続く第2祷から最後の第6祷までが、この御名を崇めさせたまえという第1祷の具体的な内容の説明だからです。

 例えば、第2祷の「御国を来たらせたまえ」と祈ることが、御名が最も崇められる具体的な内容になるからです。御国とは神の国ですから、それは神が支配しておられる国であり、神の支配に服している民からなっています。従って,「御国を来たらせたまえ」という第2祷は、神の民が神の御心に服することを求める祈りです。そのような神の御心に支配されることが実現するなら、そこでは何よりも神の御名が崇められていることは明らかです。つまり、主の祈りは、この第1祷に尽きると言ってもよいのです。しかし、主は理解の鈍い私たちのために、具体的にその内容を第2祷から第6祷までをもって教えてくださいました。

 

 このように最も大事なことは、言わば結論を最初に挙げて、その後は内容の説明をするという順序は、物語を語る時の順番とは逆です。しかし、聖書には教えを語る場合、最も大事なことを最初に挙げて、その内容や説明がその後に続くということは、よく注意して見ると多くあることに気付きます。

 旧約と新約から、その実例を挙げてみるとよく分かります。例えば、モーセの十戒を考えてみましょう。確かにこれは十の掟が記されています。しかし、中心は何か言えば、第一戒です。「わたしのほかに何者をも神としてはならない」という戒めが守られれば、具体的には、神の名をみだりに唱えることも、刻んだ像を造ったり、拝むこともないでしょうし、安息日を聖別することも当然です。そして、神を畏れ敬う者であれば、隣人に対しても神の御心を行う者として、第五戒から第十戒を守るよう努めることも当然のことです。

 例えば、使徒パウロの場合を見てみましょう。彼は、人間関係の基本的な原則として、エフェソの信徒への手紙5章21節で、「キリストに対する畏れをもって、互いに仕え合いなさい」と先ず語ります。その上で、この命令の実際的なこととして、「妻たちよ」と22節で、「夫たちよ」と25節で、「子供たち」と6章1節で、「父親たち」と4節で、「奴隷たち」と5節で、「主人たち」と9節でそれぞれ説明を加えています。「キリストに対する畏れ」敬いが薄れ、自意識が強く、自分の思いが中心になるので、パウロはこのように語りました。

 同じことは、主がこの主の祈りをお教えになるきっかけも、「偽善者のようであってはならない」と言われて、偽善者の特徴は「御名を崇める」のとは正反対であって、自分の誉れのために行動しているのをご覧になって、弟子たちへの教育のために、この祈りをお教えになりました(マタイ6:5~8)。このように、主の祈りで、最初に来る「御名を崇めさせたまえ」が祈りの中心であるということです。

 

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書籍紹介
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 社会意思決定

日本評論社
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 共著者・編者
鈴木達治郎
電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
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東京大学大学院人文社会系研究科教授
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教会における女性のリーダーシップ
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント 
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
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 「著者のことば」
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