眸

 

　　　　　眸(ひとみ)

 

　拝啓　「ひとみ」に手紙きを出している人のあることを知り、お便りします。私は都内の学校に通学している中三です。食卓に母が読んでいた「つのぶえ」があったのでつい読んでしまいました。「自閉症者のひとりごと」に助けて、助けて、助けて…という言葉が書いてあった。何か私の叫び声のように思った。私は一人っ子で、両親は共働き。学校から帰るとすぐ塾に行きます。これは小学校の時からです。塾には行きたくないけど、家に一人でいると不安でさみしいので友達がいる塾の方がいいから。

　疲れて帰ってくる母は、何時も同じことを聞く、塾どうだった、私の答えも同じ、別に…。母の関心ごとは勉強の成績のこと。少し上がれば、お母さんも頑張るから、あんたも勉強しなさい、だ。何か言うと小言か注意だけ。両親がいても時間があれば携帯に向かっている。よく、最近の子供は他人と話が出来ないという。先生も言う。私は先生からも両親からも成績のこと以外でほめられたことが無い。自分で言うのも変だが、そんなに悪い子ではないと思う。

　私たちは親とも大人とも話がしたいが、何か言うと今の子の考えていることが分からないとか、何をそんな子供みたいなことを考えているの！　だ。返事なんかいらない。ただ聞いてくれるだけでいいのに、すぐ大人の答えが返って来る。

　私が携帯に向かうのは、両親と話が出来ないので、さびしいのでメールしている。私たちはさびしく一人ぽっち。何も世の中のことが分からないから、不安だ。だからメールしている。本当は、助けて、助けて、助けてって叫んでいる。でも誰も聞いてくれない、振り向いてもくれない、だから変な大声を出したり、バスや電車の中で化粧をしたりして大人に嫌われることをしてでも見てほしいだけ。私の生活から携帯がなくなったらきっと心の病気か非行にはしるかだと思う。一人ぽっちは耐えられないから……。

 

　匿名さん、長いお便りの投稿ありがとう。読みました。宛名がなくてよかったです。返事を書いたらあなたが大嫌いな大人の言葉になりますので、この「つのぶえジャーナル」で御礼だけにしますね。

　また投稿して下さい。（編集子）