2023年7月号
№193
号
通巻877号
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小閑記
キリストに生かされた者として
……。宗教改革者ルターのある教理問答の最後のところに、夜寝るときと朝起きたときの祈りの仕方が書いてあります。その祈りの仕方というのは、立つかあるいはひざまずいて、十字をきりなさいというのです。
ルターの時代には、プロテスタントの人でも、終始十字をきっていたのでしょう。そして、使徒信条を唱えなさい、その後に、主の祈りをしなさい、そして、もう一度十字をきりなさい、これが朝の祈り、夜の祈りになるようにしなさい、と教えています。
しかし、使徒信条とは何でしょう。主の祈りとは何でしょう。それは、今日も自分は元気で起きた、今日も自分はこういう計画がある、ということとは違って、神をどう信じるか、キリストをどう信じるか、聖霊をどう信じるか、神のためにどういう祈りをするか、自分の救いのためにどういう祈りをするか、ということでありましょう。
われわれの下手な言葉でなくて、使徒信条と主の祈りとを用いるのでしょう。ルターはおそらく、そうしたのだろうと思います。あの偉大な宗教改革者が、自分でしていたことを人に勧めて、朝に夜に、自分が本当にキリストの恵みによって生かされていることを心から知れ、というのであります。それによって、この恐ろしい罪に勝つ望みを、与えられると信じるのであります。
大変有名な話ですが、タイタニックという英国の船が、大西洋に処女航海に出た時に、氷山にぶつかって、わずか数時間の間に沈没してしまいました。これは、世紀の出来事として、いつまでも語り伝えられているのであります。
その時に、多くの乗組員、乗客たちは、どういう振る舞いをしたかということは、後々までも語り伝えられています。多くの人々は大変立派な態度で、自分の生命が危険でも、人の生命を救うようにしたようですが、中には自分が助かろうとして、人をつきのけるような者もいたということです。
その時にその船が、いよいよ駄目になったとき、船の専属のオーケストラが、有名な「主よ、みもとに近づかん」という讃美歌を演奏したという話であります。乗客たちはその讃美歌を聴いてどんなに励まされたかわからないというのです。
そのように、讃美歌が、非常に大きな力を持っていたということは、いろいろなエピソードがあります。われわれも自分たちの信仰生活において、あまり聖書を読まないかもしれませんが、讃美歌ならよく覚えていて、それが、多くの機会に力になってくれたという経験があるのです。
ピリピ人への手紙の2章6~11節は、聖書学者がほとんど一致して、これは当時の教会の讃美歌であった、と申します。その讃美歌の一説をパウロがとって、この手紙の中に書き込んだ、というのであります。
その当時、教会の聖書というのは、旧約聖書だけであります。しかし、すでにここに書かれている当な見事な讃美歌が、人々の中に歌われていたと言われるのです。それはどういう節で歌われていたかわかりませんが、これが、ここに書かれる前に、みんなが口にしていたものの一説であったことだけは、間違いがないでありましょう。
そういう意味では、われわれの持っている賛美歌も、そのまま聖書ではありませんが、聖書の信仰に裏付けられていますし、しばしば聖書の言葉がそのまま用いられているのですから、讃美歌によってわれわれが、慰めを受けたり励ましを受けることは、当然なことであります。
(竹森満佐一著・ピリピ人への手紙講解・2章5~11節
これらの文章の転載は許可を得ております。 上河原記
=追悼の辞= 上河原立雄先生は8月4日召されました。享年78歳でした。この原稿は奥様の介護の日々の中、ご自身が信仰の歩みと学びとして諸先生の著書を読まれておりましたが、その中で、心に残った箇所を抜書きして月に何度となく送ってくださったものです。これからも先生のご遺志を「小閑記」として掲載させていただきます。 編集子
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緑を大切に!
書籍紹介
エネルギー技術の
社会意思決定
日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授
「本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
共著者・編者
鈴木達治郎
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント
スーザン・ハント
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
鈴木英昭著
「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円