2023年7月号
№193
号
通巻877号
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「ローマ人への手紙」研究 (53)
第38課 異邦人の召命とユダヤ人の拒否
9章1~11章36節(続)
A 神がユダヤ人を退け、異邦人を召されることは神の約束と矛盾するものではない。
9章1~24節(続)
「その愛顧を与えることにおいて、神は絶対的主権をもっておられる」
9章6~24節 (続)
神の絶対主権の教理を語り、それがヤコブとエサウの歴史から真理であることを明らかにしてパウロは、更に進んで、この教理に対する2つの反対論を取り上げようとしています。一見、これらの反対論はもっともらしく見えるので、それらを取り上げて評価し反論することが必要なのです。
パウロの第一の反論を9章14~18節で、第二の反論を9章19~24節で取り上げています。絶対主権の教理は神を不正とするというものです。「では、わたしたちはなんと言おうか。神の側に不正があるのか。断じてそうではない」。要するに、この反対論は神が主権的にある人々には恵みを与え、他の人々には与えないとすれば、神は不正であり、不公平であるというものです。この反対論の背後には、神が正しく公平であるためには、すべての人間は全く同じように扱わねばならないという考え方です。この反対論の根底には、神は人間に負い目があるとする考え、すなわち、神がある者にお与えになるものを、他の全ての者も要求する権利があるという考えが存在しています。
パウロはいつもの方法に従って、最初にこの反論の中心点を強く否定します。「断じてそうではない」と言っています。このように先ず強く否定してから、次に、その理由を述べています。
第一に、旧約の出エジプト記33章19節から引用して、神はみ言葉において明白に、この絶対主権を主張しておられることを示します。「わたしは恵もうとする者を恵み、あわれもうとする者をあわれむ」。これはモーセに対する神ご自身のみ言葉です。そこには訴える態度は微塵もありません。神は明白に主張しておられるこの主権性は、人間の考える公平とか正義とかに服させることは決して出来ないのです。
だからパウロは「ゆえにそれは人間の意志や努力によるのではなく、ただ神のあわれみによるのである」と言うのです。人間が選び、救い、恵みを受けることは、究極的に言って、彼ら自身の意思、決心、行為、業によるものではなく、神の自由な主権的なあわれみに依拠しているのです。
第二に、彼はこの教理をパロの歴史から例証しようとしています。「わたしがあなたを立てたのは、この事のためである。すなわち、あなたによってわたしの力をあらわし、また、わたしの名が全世界に言いひろめられるためである」(9:17)。これは出エジプト記9章16節からの引用です。C・ホッジはこの箇所を註解して「ここで主張されているのはパロが立てられるという計画ではなく、神が世界史の上にパロをお立てになったその目的である。パウロは神がお立てになったパロの神への悪逆を述べているのではなく、この時期におけるパロの出現、彼の心の邪悪が進む状況、またそれが現われてくる歴史環境など、一切が神の摂理によって定められ、神の無限に賢くあわれみに満ちた目的が成就されるように計画されていたということをしめそうとしているのである」。
すなわち、神はこの教理をパロを立てて、彼の生涯を彼自身の益のためではなく、神のもっと大きい御目的―神の御栄光が大いに現われるためにはパロが滅ぼされることをも含む御目的に適うように決定しておられるのです。これはパロが他のエジプト人たちよりも邪悪であったとうことでもなく、神が崇められるためであったのです。
神はアロンやモーセの救いによってと同じく、パロの滅亡によっても栄光を現わされるためなのです。
J.G.ヴォス著
玉木 鎮訳
(日本キリスト改革派引退教師)
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緑を大切に!
書籍紹介
エネルギー技術の
社会意思決定
日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授
「本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
共著者・編者
鈴木達治郎
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント
スーザン・ハント
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
鈴木英昭著
「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円