2023年7月号
№193
号
通巻877号
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=時々の記=
(19)
小学校教師として
西日本音楽指導者研究会の思い出(1)
小学校の教師になって13年目の年のことです。その年も担任のクラスの子供たちをどういう思いで指導していくか、学級経営目標を考えていた矢先のことです。好調から10月23日に西日本音楽指導者研究会を開催するよう文部省から通達があったとの報告がなされました。
私は頭の中が真っ白になってしまいました。1年生1クラス、6年生まで合わせても6クラスしかないこの学校でどうしてそんな大それた研究会が開けるのか、何度も撤回してもらうように頼みましたが、もう既に校長は単独で引き受けてあるのですから、後には戻れないと言うわけです。私は、その年は4年生の担任でした。3人の教諭が当日の授業、全校音楽集会、金管バンドの演奏指導をするように割り振られました。
4年生は学年としては一番指導しやすい学年だからということで、私が当日の授業、全校音楽集会、金管バンドの全てに係わるよう命ぜられました。しかもです、私が今まで取り組んだことのない「2部合唱」を授業で取り上げるよう決定されてしまいました。当日まで、夏休みを除くと5ヶ月余りです。不安と焦りのスタートです。全員で30名という少人数のクラスでした。その内の1人、S・Iさんは、2年生の時、急性白血病で倒れ長期入院治療中でした。
私はSちゃんとその保護者の方と連絡を密に取り合い、必ず一週間分の授業で扱った教材プリントや学級通信を添え、また、クラスの子供たちの手紙を添えて土曜日の午後、天理の病院の訪問を欠かしませんでした。Sちゃんは1年生の時にも担任したことがありました。それが何よりの信頼関係を保つことが出来、面会の折も心を開いてくれました。最初の頃は、沢山のプリントを抱えてSちゃんのご家族にも喜んでもらえるだろうと考えて出掛けて行きました。
ある日、お母さんから、「先生、今、うちの子はどんな状態か知っているんですか、主治医の先生からは薄氷を踏む状態だと言われているんですよ。それなのに、次から次へと出来もしない教材プリントや学級の子供たちの手紙を持って来られたって、何も嬉しくありません。先生には、私たち親の気持ちが分かっていないのです。今までここへ持ってきた分を全部持ち帰ってください。それから、お見舞いにも来てもらわなくて結構です」と断られてしまいました。
私は、Sちゃんやお母様の気持ちに添えないことに申し訳ない気持ちで一杯でした。こんな私は、教師として失格だと自分を責め続けました。悲しい思いで学校に戻ると音楽の授業の進め方について先輩教師から早く計画・立案を提出するように言われます。「ちょっと待ってください。今、Sちゃんのことで頭が一杯なのです」。学級の子供たちを放ってほおっておいて、校長にSちゃんの対応をどうしたら良いか、考えてもらうよう頼みました。
私の一方的な病院へのお見舞いの行き過ぎを許してくださるよう、お父さんと連絡が取れました。そして、院内学級に入学することに承諾していただきました。院内学級に入学するには、一旦、私のクラスから除籍しなければなりません。私もそのことに心を痛めましたが、お父さんも私以上に淋しさを表されて、「うちの子のこと、忘れやんといてや」と仰せられました。
忘れるはずがありません。私はSちゃんの所へお見舞いにいけなくなった分、一層、思いが募ってくるのでした。
さて、学級では1人1人の子供たちの声に耳を傾けることから始めなければなりませんでした。地声のままの子の多いことに気が遠くなりそうでした。どうやってこの子たちを2部合唱の出来る子らへと導いて聞くことが出来るのだろうかと悩みました。
明治学院で中田羽後先生が合唱のご指導をしてくださったことを思い出しました。輪唱を歌わせることによってお友だちの声を聞き合うことが出来るということでした。私は日曜学校で習った「うれしいうれしいクリスマス」や「アーユースリーピング」などの輪唱曲を一緒に歌いました。すると子供たちは歌うことを余り嫌わずに楽しんで歌っているように思われました。
写真:西日本音楽指導者研究会で2部合唱する子供たち
馬場暁美
(上野緑ヶ丘教会員)
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緑を大切に!
書籍紹介
エネルギー技術の
社会意思決定
日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授
「本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
共著者・編者
鈴木達治郎
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント
スーザン・ハント
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
鈴木英昭著
「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円