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2023年7月号  №193 号 通巻877号
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   小閑記
       
 「後ろのものを忘れ」
   (ピリピ3:13~14)
 
 パウロは12節で告白した、「完全」に対する追及が詳細に述べられています。この箇所からキリスト者が不完全にどうしたら良いかをとりあげることにしています。不完全なキリスト者の対処法とも言えるでしょう。この対処法の一つは、「ただ、この一事に励む」ために、「後ろのものを忘れ」ることです。前進のために過去を忘れることです。
 パウロは14節以下で競技の比喩を用いています。競技に参加する選手で後ろを見て走る者は一人もいません。ゴールを目指してひたすら走り続けます。キリスト者が完全を目指すのも同じです。過去のものを忘れ、前に向かって進みます。これが前進の第一歩です。
 この「忘れる」ことは絶対的な意味ではありません。つまり、後ろのものを何もかも忘れることではないのです。必要なことは覚えておいて、不必要なことは忘れると言う相対的な意味です。
 
54d70d42.jpg むかし、ギリシャ時代、シモニデス(前556~468)と言う人が、テミストクレス(前528~462頃)に記憶術を教えてあげようと言ったそうです。すると彼は「いや、わたしには忘れる術の方を教えてくれ、覚えなくてもよいことを覚え、忘れたいことをどうしても忘れることができないから」と答えました。テミストクレスが教えてほしいと言った忘却術とは、必要なことを覚えるために不必要なことを覚えないで忘れると言うことです。
 
 パウロが「後ろのものを忘れ」と述べているのは、神の恵みなどの必要な後ろのものは絶対に忘れてはならないけれども、不必要な後ろのものを忘れるという意味です。不必要な後ろのものは、前進を阻みます。そのようなものは、過去のものですから、言葉どおり去らせるべきです。それを選ばないことは取り返しのつかないことになります。
 では、不必要な「後ろのものを忘れる」とは、どう言うことでしょうか。それは、過去の罪を忘れることです。罪を何時までも何時までも気にしてじっと考え込んでいることは、霊的にはもっとも不健康な状態です。完全に向かって前進を願う者にとって、こんな不健全なことはありません。罪のとりこになっている限り、前進はないのです。
 罪を忘れる方法は、悔い改めて、主イエス・キリストの尊い血で赦していただくことです。罪の重荷を背負っては「前のものに向かって進む」ことは困難です。
 
 次に失敗も、忘れなければならない不必要な「後ろのもの」です。私たちは、用意周到に準備し、純粋な動機をもって一生懸命に事をしたにもかかわらず、結果的に失敗することがあるものです。そんな時、ひどく失望・落胆します。がっくりします。自分が嫌になります。しかし、もし何時までもくよくよするなら、前進の望みはありません。このような場合、先ず失敗を忘れることが大切です。失敗を忘れる最良の方法は、それを聖霊なる神に委ねることです。聖霊により頼む時、聖霊は私たちの過去のどの失敗も忘れさせ、それを益として下さいます。
 
  樋口信平著「ピリピ人への手紙講解説教・いのちのことば社」
 
                上河原立雄撰 
 
これらの文章の転載は許可を得ております。    
 
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書籍紹介
    8858e3b6.jpg
エネルギー技術の
 社会意思決定

日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
 定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授

本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
 共著者・編者
鈴木達治郎
電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本

      d6b7b262.jpg
教会における女性のリーダーシップ
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント 
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
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「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
定価 2000円 

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「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
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「十戒と主の祈り」
鈴木英昭著
 「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
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われらの教会と伝道
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本

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さんびか物語
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円

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