2023年7月号
№193
号
通巻877号
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『旧・新約婦人物語』(8)
シモン・ペテロのしゅうとめ
(マタイ8:14~15、マルコ1:29~31、ルカ4:38~39)
シモン・ペテロの姑の話は、聖書に僅か三回しか出ていません。しかも、その三ヶ所が、一つの出来事を伝えているだけです。しかし、私たちは、この短い数節を粗末に扱ってはなりません。よく研究しますと教えられることが沢山あります。
先ず気付く事は、漁夫であったペテロと彼の兄アンデレとが、ガリヤラ湖の北岸の町カぺナウムに家を持っていたということです。彼らの生まれたのは、そのすぐ南のベッサイダでありましたが、何時の間にか、カペナウムに移り住んでいたようです。この家の中心でありますペテロと、働き手であるアンデレとが、突然、イエスに従って家を去ったことは、この家庭にとっては大きな痛手で後に残されたのは、ペテロの妻と彼女の母だけと思われます。
この二人が、その後どれほど苦労したことでしょうか。しかし彼女らは、ペテロとアンデレの高く大きな使命の遂行に妨げとならなかったばかりか、かえって、これを励ました事実は、まことに美しいことでありました。よく考えて見ますと、これは一般の主婦にも課せられている道ではないでしょうか。
毎日、家の中で同じような仕事を繰り返しているのは、如何にも平凡で目立たず、時には嫌になるかも知れません。けれども、家庭における主婦の働きによって、外で働く人々が家庭にたいする不安や憂いをなくして、全力で尊い使命に打ち込むことができるのであります。このように考えます時、家庭にある妻や姑が、自からに与えられた家庭内の小さい仕事の一つ一つに熱心なことは、彼女らの一番恵まれる道だと思います。
ルカによる福音者4章16節以下によりますと、イエス様はユダヤからみ霊の力に満たされガリラヤにお帰りになり、お育ちになったナザレに戻られました。そしてイエス様は故郷の人々に力ある説教をなさいました。けれども、ナザレの人たちは、いろいろの先入観にわざわいされ、イエス様のお言葉も信ずることは出来ませんでした。それのみでなく彼らは、イエス様を殺そうとまでしたのです。
しかし、イエス様は彼らの真ん中を通り抜け、ナザレを立ち去って行かれました。イエス様はガリラヤの町カペナウムにおいでになり、この町で安息日毎に会堂で多くの人たちに説教をなさり、また悪霊に取り付かれた人々をお癒しになりました。さて、マルコによる福音者によりますと、イエス様は会堂を出られた後、すぐにヤコブとヨハネとをお連れになって、シモン・ペテロの家へ行かれたとあります。
お育ちになった故郷ナザレから追い出されたイエス様には、住む家もなく困った思いますが、その時、カペナウムの愛するシモンとアンデレの二人の弟子の家で、あたたかく歓迎されたことは、イエス様の大きな喜びと慰めであったでありましょう。イエス様はその後、ご自身について、「きつねには穴があり、空の鳥には巣がある。しかし、人の子にはまくらする所がない」(マタイ8:20)と言っておられます。
ペテロとアンデレの家庭で、彼らの家族の人たちの心からの歓待を受け、あたたかい交わりを持つことがお出来になれたことは、イエス様のお働きに大きな励ましとなったことでありましょう。ともあれ、カペナウムの町が、イエス様のガリラヤ伝道の中心地であり、ペテロの家が伝道の根拠地となったことは、疑う余地のないことと思えます。
お話しを本筋に戻しましょう。イエス様の弟子たちが、ペテロの家に入っていきますと、ペテロの姑が高熱にうなされて、病床に伏しておりました。家族の者が、どうしたらよいのかと心配していたところです。ところで彼らは、お疲れになっているイエス様を煩わしてはいけないと、心に思いましたが、思い余ってやむなく、事の次第をイエス様にお話しし、彼女が高熱で苦しんでいるのを、お癒し下さいとお願いいたしました。
イエス様はすぐに彼女の寝ているところへ行かれ、彼女の枕元にお立ちになり、彼女の手を取って起こされますと、たちどころに熱が引き、姑は直ぐに立ってお台所に行き、お客様のために食事の準備をいたしました。「これは不思議なことだ」と、お思いですか? 決して不思議ではありません。これはキリストのお力の偉大さの証拠です。このような例が、聖書には沢山あります。今でも、キリストは同じ力をお持ちになって、私たちに力と慰めとを与えてくださっています。
さて、聖書には、神が信仰ある人の祈りを、必ず、お聞きくださるとの約束が語られています。ところで、私たちは、いろいろな条件を付けずに、すべてを主のみ心に任せるべきです。「求めよ、そうすれば、与えられるであろう」との主の約束のように、どのようなことでも神に祈り求めることは正しい方法であります。私たちの祈り求めたことが、例え希望に反して違った答えが出たとしても、それは神様の愛の摂理であると信じましょう。多くの人々は、この点まことに気まま勝手で、「神様、どうか私の病気を癒して下さい。癒して下さったら、神様を信じてクリスチャンになります」と祈っています。またある人は、キリストの神を試してみようとします。もし病気が癒されたら、商売が繁盛したら、受験に成功したら、そうしたら、信じましょう・・・と神様を試しています。こんな気持ちでどんなに多くの方々が、教会に来たり、聖書研究会に出席されたりしていることでしょう。このような考え方、気持ちでは、何時までたってもキリストを正しく知ることは出来ませんし、本当のキリスト者にされないのです。
最近はことの外、様々な怪しい偽宗教や新興宗教が流行しています。これらの宗教の中心は御利益主義で、信者たちの病気が必ず治ると高言しています。そして、もし治らなかったら、その人の信心が足りないからだと逃げるのです。このような偽宗教に迷って、莫大なお金を巻き上げられた人たちが、沢山おられると聞きます。
あなたは、このような間違った宗教に迷い込むことなく、どうか正しい真の神様、キリスト教を熱心にお求め下さるようにお奨めいたします。真の神に祈れば、病気が癒されるとか、癒されないとかを越えて、私たちの心に病気や悩みに打ち勝つ力、信仰が与えられるのです。私たちはシモン・ペテロの家族のあたたかい雰囲気から、いろいろと多くのことを教えられます。ペテロの家族がどうしてあたたかく、キリスト・イエスをお迎えすることが出来たのでしょうか。その根本的な理由は、彼の家族の者が皆、イエス様をよく知り、神様を心から信じていたからであります。
「聖書を読むこと、そのことが教育なのである」(テニソン)
ポーリン・マカルピン著
(つのぶえ社出版)
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緑を大切に!
書籍紹介
エネルギー技術の
社会意思決定
日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授
「本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
共著者・編者
鈴木達治郎
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント
スーザン・ハント
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
鈴木英昭著
「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円