2023年7月号
№193
号
通巻877号
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社会福祉活動のあゆみ(34)
キリシタンの貧しい人々への救済(7)
キリシタンの慈善の動機(3)
豊後の育児院と府内病院(2)
豊後府内病院が建設されたのは1557年で、アルメイダが育児院の児童に医療を施し、それを聞いて大人の病人も集まって来たことによってなされたものと思われます。教会のあった跡地に大木で建物を建て、二区に区分し、一つは負傷及び簡単な治療のできる病人のために、もう一つは、当地に多数いたハンセン病患者のためであったという。
この病院は、近代西洋医術を施したわが国最初のハンセン病施設でもありました。1557年2月頃(弘治3年正月)より診療が始められ、評判を聞いて多数の患者が集まり、たちまち増築に迫られています。1559年(永禄2)、相当大きな内科病棟が増設され、聖母御訪問の祝日の前日(7月1日)竣工、開院しました。旧来のハンセン病棟はそのままで、内外科共用の病舎は外科病棟とした模様で、この病舎に接して職員の住宅があり、その家屋の周囲にはベランダがあり、病人はそこで治療を受けたと言う。キリシタンは人肉を食うとか、生血を吸うという悪宣伝に対して、外科手術を公開して行うことで対処していたことがうかがえます
アルメイダはイルマンとしての修業中の身であり、多数の患者を一人で診ることは難しく、内科病棟は、漢方医であるキリシタンの日本人医師が診療・投薬に当っていた。南蛮外科、特に外科手術はわが国では殆んど知られておらず、その高い水準に当時の人々は驚き、この評判は、京都、関東までにも響いたという(ジリング著「日本に於ける阿蘇会の学校制度」東洋堂)。
これに対して、アルメイダが内科は漢方医に任せているのも興味深いことで、漢方の有効性を高く評価したからではないだろうか、と言われています。一般の書物からですが、明治以降の西洋医学導入に当たり、漢方を見捨てたわが国の現代医学の状況と考え合わせるとアルメイダの先見性は高く評価できる、とありました。
更に、アルメイダは、自ら治療に当っただけでなく、医師の養成もしていて、その内容は不明ですが、1558年には、臨床教授を始めている、ともありました。ベランダでの手術は臨床教授にも役に立っていたのでしょうか。1661年、アルメイダは病院より手を引きます。イエズス会士の医療事業禁止令がその前に日本に達していたからであると思われます。
府内病院は、アルメイダの医師養成の結果、南蛮医術をそれ以後も施すことができたのです。この病院事業の事務や病人の収容、救護、看護等の雑務を助けるために、「ミゼリコルヂャの組」が有志の男子信徒により組織されます。山口の信徒組織にならったものでしょうが、組織的になったのは、府内のこのミゼリコルヂャの組です。この組には、12名の専任者がおり、二人ずつ毎年病院の世話に当っていました。そうして、二人ずつ交代で病院の経営に専念していたようです。
病院の経営は、原則として無料でありましたから全て寄進をあおがねばならなかったのです。従って、他の10人は、寄付を集める仕事と貧しい人々への救済など、多方面の仕事をしています。府内病院は、日本人医師や看護人、そしてミゼリコツヂャの組や一般信徒にさせられて経営は維持されたようです。しかしながら、キリシタン活動の中心が長崎に移り、豊後地方の戦乱などのため、次第に衰微していきます。巡回宣教師ヴァリニアーノの第1回日本訪問の頃(1579~82)は、ハンセン病院のみではなかったかと推察されます。
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緑を大切に!
書籍紹介
エネルギー技術の
社会意思決定
日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授
「本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
共著者・編者
鈴木達治郎
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント
スーザン・ハント
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
鈴木英昭著
「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円