2023年7月号
№193
号
通巻877号
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ジャン・カルヴァン著
ヘンリー・J・ヴァンアンデル編
吉岡 繁訳
第2章 自己否定
5 自分以外の信者の利益を求めるべきである
1 すべて利己的な考えを捨て、自分自身のことをほとんど忘れ去らない限り、忠実に隣人の利益を求めることは、まことに難しいことである。自己を捨て、他の人々のためにすっかり自己を献げない限り、パウロの教えた愛のために働けという義務を、どうして遂行できるだろうか。
「愛は寛容であり、愛は情け深い、また、ねたむことをしない。愛は高ぶらない。誇らない。不作法をしない。自分の利益を求めない。いらだたない」のである。
2 自分のことを求めるな、というのが命令のすべてであるなら、自己のみを愛し、なかなか自己のことを忘れ得ないようにされているわれわれの本性に、われわれは少なからぬ圧力を加えなければならない。むしろ、他の人々の利益を求め、更に進んで他の人々のために、自己の権利を放棄するようにしよう。
どんな恩恵であれ、主から受けているのであれば、それは教会の共通の利益のために用いるという条件で、与えられているということを、聖書は強く警告する。神の恩恵の正当な用い方は、他の人々に、気前良くまた親切に分け与えることである。
われわれが享受しているすべての祝福は、他の人々と分け合うという条件で与えられた神の投資であるということ、これが最も確かな法則、力ある勧告である。
3 聖書によると、われわれのそれぞれの個人的能力は、人体の各部の諸機能にたとえることができる。身体のどの肢体も、それ自体のために力を持っているのではなく、また私的な用のためにそれを用いるためでもない。同様に、教会の会員の場合も、だれも自分の活動から自分の利益を受けず、信者全体との協力の中で利益を受けるべきである。
忠実なキリスト者は、どんな能力を持っているにしても、それを兄弟である信者のために所有すべきであり、自分の利益を、教会の建徳のために真心から従属させるべきである。他の人々を助けることができる時には、いつの日か、自分のしたことを説明しなければならない管理人として身を処すことを、われわれは善意と慈愛の基準としよう。また、利益の配分は、愛の律法によって決めなければならないことも覚えておこう。
なぜなら、まず自分のことを求めておいて、他の人々の利益の増進につながるようにしようというのではなく、他の人々の利益をまず先に考えるべきだからである。
4 単に大きな利益に関わることだけでなく、生活の中の小さな好意においても、愛の律法を忘れることのないように、神は遠い昔から命じておられる。まず神に献げない限り、どんな祝福も享受すべきでない、ということの厳粛な印として、神は穀物の初穂を献げ物を、その民イスラエルに命じられた。
われわれは神が賜物を、自分の手で、その造り主である方に献げてこそ、神の賜物は、われわれの聖化された生活の一部となるのであるから、それを献げない限り、それを罪によって濫用しているということになる。
5 しかし、われわれが、能力や賜物を主に分け与えて、主を富ませようとしているのであれば、それは空しいことである。われわれの好意は、主にまで至ることができないから、詩篇の記者の語るように、われわれは、「地にある聖徒たち」にたいして、好意を示すべきである。
聖書において、施しは聖なる献げ物にたとえられている。それは福音の下における慈善の行為が、旧約の下における犠牲に代わったことを示すためである。Ⅰコリント13:4~8、詩篇16:2~3。
写真:ヤマモモの実
写真:ヤマモモの実
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緑を大切に!
書籍紹介
エネルギー技術の
社会意思決定
日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授
「本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
共著者・編者
鈴木達治郎
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント
スーザン・ハント
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
鈴木英昭著
「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円